アンデットな村人の僕 7
「人間には核石(コア)はないけど、魔力になる前の生命力は全身を絶え間なくめぐっているの。モンスターは核石にためこんだ生命力を少しずつ消費しながら生きる。ドラコンは火炎系の魔法を発動させたりもする。口から火を吐いているように見えるけどね」
僕はドラコンを見たことはない、昔話で聞いたことがあるけど、村では子供が悪さをすると「ドラコンに食べさせてしまおう」と言われていた。
「ルイーズさんはドラコンを見たことがあるんですか?」
「もちろん。とても大きな翼とツノがあるとかげみたいな姿をしてるのよ」
ぼうやは核石の話よりドラコンに興味を持ったようだった。
アデルのほうはだまって話を聞いていた。
「問題はドラコンの核石にためこまれている力を1だとすると、ぼうやの睾丸には100ぐらいの力がたまってるってこと。一気に爆発として放出させたら王都とその周辺あたり塵も残らず消し飛ぶわ」
「そんなに力が……」
アデルがため息をついてつぶやいた。
そんなに魔力がもうたまってるなんて、って考えてる顔ね、あれは。
「僕は、爆発しちゃうんてすか?」
「ぼうや、それはいい質問よ。魔力の使い道はいろいろ、だけど魔力を制御する方法を知らないと爆発するかもしれない」
僕は、人が爆発するのを見たことがない。
子供の頃に父が「火薬玉」というのを猟師さんたちに頼まれて仕入れてきたのを見た。
ねずみのしっぽみたいに導火線がついていて、その紐に点火すると、火が玉に到達すると爆発するもので、いたずらしてはいけないと言われた。
村の僕より歳上の子たちは猟師さんについていって爆発を見るとはしゃいでいた。
「タケルはまだ子供だから、危ないからダメだ」
はしゃぐ歳上の子たちから離れて、僕は家の部屋に帰ってきていじけていると、扉をノックなしで開けて歳上の女の子イルダがベットのはじに腰を下ろした。
「あたしも女だから来るなって言われた。なんかむかつく。タケル、あたしと一緒についてきな!」
「でも……」
「でもじゃない、だから仲間外れにされるんだ。あたしは親父について狩りもしてるから、手伝いに行けば、こそこそ隠れて見に行かなくても見れるっていうの。こわいなら来なくてもいいけど」
「こわくない」
「はははっ、なら、あたしと一緒に行くよ」
イルダが僕の頭の髪をわちゃわちゃと撫でた。