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アンデットな村人の僕
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アンデットな村人の僕 6

扉の向こう側の部屋は背よりも高い本棚がずらっと壁面にそって扉のある壁面以外は並んでいた。
僕はこんなにたくさんの本を見るのは初めてだったので、つい目を奪われていた。

大部屋の中央に水晶玉の置かれた円形のテーブルがある。
そのそばで立っている黒いワンピースを着たポニーテールに髪を結んだ背の高い女性が微笑を浮かべながら僕らに近づいてきた。

「あら、かわいいお客様を連れて戻ってきたね。ぼうや、お名前は?」
「僕はタケルといいます。はじめまして。あなたがシスター・アデルのお師匠様ですか?」

「ええ、私はシスターではないですけど、アデルのお師匠様ですよ」
そう言って僕にいきなり抱きついてきた。


「ふぐっ」
アデルのお師匠様の胸のふくらみが顔に押しつけられて、息苦しい。

「お師匠様!」

アデルがちょっと怒ったような声を上げた。

「あらあらアデル、そんなこわい顔をして。ちょっと抱きついたからってヤキモチ?」

「ちがいます。タケルくん、窒息しかけてるじゃないですか」

アデルのお師匠様は、僕の髪を撫でたあとすぐに離してくれた。


お師匠様は指をパチンと鳴らすと、円形のテーブルのそばの床石が、ちょうど三人分、石の柱の椅子のかわりに上がってきた。
私とタケルくんは並んで座り、水晶玉をはさんでお師匠様が座った。

「座りごこちはどうかしら?」

三人とも身長差があるのに、ちょうど靴の裏が床につく高さだった。

「ふだんは一人だからね、お客様用の椅子は用意してないのよ」

「私はルイーズ。私のことを都の人たちは賢者なんてあだ名で呼ぶけど、趣味で魔法を研究したり、魔法の道具を作ってあげたりしてる人ですよ」

「賢者様なんですね」

「ぼうやはルイーズさんでいいですからね。アデル、連れて来るなら名前ぐらいちゃんと教えておきなさいよ」
「はい、すいません、お師匠様」

アデルは昨夜は僕の治療、今日は僕が埋葬されたことにする裏工作で大忙しだった。

「すいません、ルイーズさん、僕がちゃんとアデルに聞いておかなかったからです」
「ぼうやは優しい子ね。アデルが惚れるのもわかる気がする」

タケルくんと話ながら、お師匠様がちらっと私の顔を見た。私は頬や耳まで真っ赤だったかも。

「アデルのほうが私のことは詳しいんだから、かばってあげなくてもいいんだよ。それにゲートで知らない人のところに連れて来られて不安になったりしなかった?」

「不安にはなりませんでした。アデルが一生懸命、僕を助けようと思って会わせてくれるお師匠様ですから、悪い人じゃないと思ってましたから」

「すっごくいい女よ。自分で言うのもおかしな話だけど」


アデルとぼうやから、一度仮死状態になったいきさつを聞き出した。
アデルがぼうやに自分の魔力を分ける治療魔法で蘇生させたのは聞かなくてもわかるから、あえて聞かないでおいてあげた。

「今は名も知られていない淫神は、豊穣の女神とも呼ばれているの。その使い魔がツチノコ。ぼうやがツチノコに咬まれたのには、何か意味があるとは思うの」

「私がタケルくんを蘇生させたのもですか?」

「それは私は神託の巫女じゃないからなんとも言えないけど、今の状態はぼうやは、人間よりもモンスターに近いわね。睾丸がモンスターの核石みたいな役目になってるはず」

今はモンスターは王国では討伐されてしまって、人里で、ほとんど見ることがない。
ドラゴンからは、頭部の内部にから水晶玉ぐらいのサイズの核石が発見され採取された時代の話を二人にした。

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