アンデットな村人の僕 3
まさか、タケルくんと私が交わることになるなんて思わなかった。
神に仕えるシスターは誰とも結婚したり、交わることは特例以外は戒律で禁じられているから。
でも、タケルくんでよかったって思ってる私の愚かさを、神よ、お許し下さい。
「アデル?」
「こっちよ。ゆっくり歩いてきて」
タケルくんは真っ暗な寝室に戸惑っているみたいだった。私はベットで、裸になってタケルくんが来るのを待っている。
「タケルくん、あれ、服を着てる?」
アデルが僕の服にさわったのがわかった。
「だってさ、さっきも、その見られて、恥ずかしかったから」
神よ、これも試練なのですね。
私は覚悟して、部屋の壁が淡く発光する合図の呪文を詠唱しつつ、毛布の中に頭まで潜っていた。
教会の寝室の壁は魔法が施されていて、夜でもランプや蝋燭の灯火はいらない。
「あの、タケルくん、自分で脱いでもらえるとありがたいのですが……」
「え、なに。声が小さくてよく聞こえないよ」
僕はなんでアデルが頭まで毛布をかぶっているのかわからなかった。
毛布を何も考えないでめくって驚いた。
「わっ、アデル、ご、ごめん!」
「タケルくんも服を脱いで下さい」
タケルくんが服を脱いでいる音毛布をかぶっていても聞こえて、胸がとても激しく鳴る。
「ぬ、脱いだよ」
「ベットに来てとなりに寝て下さい」
タケルくんが毛布の中に入ってきた。
落ちついてやれば大丈夫なはず。
いちおう交わるときにどんなことをするのかは、都の図書館の本で読んだことはあるし。
僕はアデルのとなりで仰向けに寝そべっていて、とても緊張しているのに、鼓動はゆっくりだった。
アデルが僕の手を握ってきた。
もしかして……。
「あのさ」「あの」
二人で同時に話しかけてしまって、驚いておたがい手をひっこめた。しばらく、僕は体の向きを変えてアデルに背を向けて黙っていた。
「タケルくん……寝ちゃってます?」
「起きてる」
「さっき何か言いかけましたよね?」
「アデルこそ」
しばらく、また沈黙の時間。
僕にはとても長く感じた。
どうやらタケルくんは奥手な子のようです。
おそらく童貞か、経験が少ないのでしょう。
そんなときどうするかは、古い教典には書かれてなかったので私は困ってしまいました。
背中を僕は撫でられて、ぞくっとくずぐったいような気持ちよさが走った。
アデルが指先を走らせるように背中や肩や脇腹を撫でてきた。
「くすぐったい」
「ご、ごめんなさい」
アデルがすぐに撫でるのを止める。
僕は思いついたことをアデルに言ってみた。
アデルに背中を向けて横向きになってもらった。
僕はアデルのしたのを思い出しながら、指先でアデルのきれいな背中を撫でてみた。
「んっ……」
アデルが小さな声をこぼす。
そして、びくっと体を震わせた。
背中をそっとさわられて、毛布の中で薄暗くでも裸の背中を見つめられていると思うと、まだ恥ずかしさもあります。
タケルくんに背骨の上を人指し指の先ですうっと撫で下ろされて、へんな声が出そうになるのを私は我慢しました。
タケルくんの指先はひんやりとしています。
「ごめん、くすぐったかった?」
僕はアデルを撫でるのを止めて聞いてみた。
アデルが体の向きを変えて僕の顔を見つめた。
「キス、してみましょうか?」