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アンデットな村人の僕
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アンデットな村人の僕 14


「ルイーズさん、ソレイユはどこに?」
「魔導書の中に待機したの。具現化していると分けてもらったぼうやの魔力を消費してしまうって判断したのね」

他のかつて召喚しようとした研究者たちはエルフ王とエルフの姫巫女に、モンスターの核石に残った魔力と自らの生命力を捧げてきた。
そうやって精霊として消滅せずに生き延びてきた。
もしもエルフ王とエルフの姫巫女が人間を餌と考えていたら、この場にいる全員の生命力も奪い具現化したまま魔導書から逃走していたにちがいない。


「ぼうやが二人のマスターとして信頼されたってことよ」
「ルイーズさん、この本は返します」

ぼうやはそう言って魔導書を書斎の本棚に戻してしまった。

「もったいない。でも、ぼうやらしい気もする。アデル、ぼうやがもし古代エルフ族の協力が必要になったら知らせなさい。それまで私があずかっておくわ」

こうしてタケルくんは、お師匠様の魔導書の試練を終えた。

「ぼうや、村に帰る?」
「でも、僕は死んじゃったことになってるし」
「そうね、今は世界からいないことになってる。でも生き返ったって噂が流れたら、一気に有名になるわね」

有名になるという意味がタケルくんはきっとわかってない。
死んだ人が生き返って、魔法でいろんなことができるようになったと噂になって知れ渡ったら利用しようとする人たちが集まってきそうな気がする。

「さてと、私に王国騎士団から調査の依頼が来ているけど、ぼうや、アデルと一緒に私の代理で頼まれてくれないかしら。私の弟子ということなら魔法を使ってもおかしくないからね」

「騎士団?」

「タケルくん、私たちの村は王都から離れてるから騎士の人たちと会う機会はめったにないけど、治安維持のために働いている人たちかいる。その騎士の人たちの組織が騎士団というの」

タケルくんは騎士と会ったことがない。
お師匠様は賢者なので、王国の騎士団や教団ともつながりがある。

「僕は村人ですけど、大丈夫ですか?」
「ふふっ、大丈夫よ。アデルに紹介状を持たせるから。アデル、騎士団本部までぼうやを連れて行ってあげて」

お師匠様は紹介状と、タケルくんには内緒で魔導書を私に持たせた。
ここに置いてあっても、魔導書は勝手にタケルくんのそばに瞬間移動するからアデルが持ってなさい、と言われて。

騎士団本部は王国中原の西方の城塞都市。
外壁と上空まですっぽりと包むように、目には見えない魔法の障壁が張り巡らされている。
お師匠様とタケルくんの改良した瞬間移動の魔法ゲートが、騎士の都の魔法障壁を突破して、都の中央広場にいきなり現れたので私は驚いた。
本当は大門で見張りの兵士たちの通行許可を受けなければならないことになっているんだけど。


騎士の助手である斥候・偵察を意味するスカウトと呼ばれる者たちは、都の中に不審者はいないか巡回している。
あたしは中央広場にいきなり人が現れた瞬間を見て驚いた。あたしのそばにいた騎士見習いのやつが、上官に知らせるからあとを頼むとあわてて走って行きやがった。
あたしは二人の不審者を追跡することになった。

不審者の二人は昼間は食堂になっている酒場に入って行った。
待ち合わせている仲間が他にいるのか気になる。

「いらっしゃいませ」
メイド服にエプロン姿の女店員さんが空いた席に案内してくれた。
僕はアデルに注文をまかせて店の中を見渡した。
「アデル、あの人も騎士なの?」
「ウェイトレスさんの服装をしてるけど、もしかすると騎士団のメンバーかも」
「僕らはどうしたらいいのかな?」
「大門に行って説明すると説明に時間がかかりそうですから、食事が済んだら、お師匠様に依頼してきた人の邸宅に行ってみましょう」

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