花嫁サークル!! 100
「では、本日でメンバー紹介は終了です……。悠様には今日から5日間、射精をしないでいただきます」
「え……?」
今まで散々絞り出しされてきた彼は、ルナよくわからない発言に疑問符を浮かべる。
精巣を空にされた今は、助かったと言わんばかりの表情だった。
「6日目の朝に涼子さんが迎えに参りますので、彼女の指示に従ってください」
息が整い始めた純華が、ルナに続いてそう告げる。
「その間……手の空いたものがここに来て、性処理以外のことをさせていただきます……」
ルナは絞り出すように言うと、力なく瞼を閉じた。
純華は既にぐったりとして悠に寄り添っている。
やがて3人は泥のように眠り始めた。
それから2日経った。
「……暇だね」
悠とまどかは二人でぼんやりとテレビを眺めている。
「そうだな」
テニス部が休みのこの日、まどかは朝からここにいる。
愛は想いを抑えきれそうにないと思い、ここに来ることを断念していた。
「……ねぇ」
「ん?」
躊躇い気味に声をかけたまどか。
彼女はある決意が固めていた。
「あんた、テニスやってたんでしょ?」
「あぁ、あの頃は忙しかったなぁ」
テニスにサッカーに委員会。
確かに忙しそうだ。
「練習試合の時……誰か保健室に運んだことない?」
「……は?」
やけに具体的な質問に悠は少し困惑する。
「えー……あぁ、あったな。女の子。足を挫いたみたいで、肩を貸しても辛そうだったから背負ってったっけ……」
「……その時、愛はあんたを好きになったらしいよ」
「へぇ〜…………………………え?」
悠の反応に、まどかは視線を下ろした。
好きになった理由を直接伝えることはサークル規定に反する。
それを知っている悠は驚きを隠せなかった。
「……私、サークルを辞めようと思う」
まどかは静かに語り始める。
「私がいると……愛の魅力を殺しちゃうから……」
そう。
まどかはイチモツを直視できないがために、悠が服を脱がされるときはいつもその輪の外にいる。
そして彼女を放っておくことができない愛も、自然とその輪から離れてしまうのだ。
そのことを心の何処かで気にしていたまどかは、せめて愛のためにできることをしようと思い至っていたのである。
その結果、愛の恋に落ちた理由を悠に教えるのが一番だと結論付けたのである。
「そうか……」
悠は静かに呟いた。
「まぁ……お前が決めたなら、それでいいんじゃないか?」
ちょっと残念だけど、と視線を流す悠。
「ホント?」
「あぁ」
彼の返答に、思わずまどかは腕を絡めていた。
「嬉しい……こんな私でも、がっかりしてくれるんだ……」
「当たり前だ」
二人は強く抱擁し合う。
まどかの悠への想いは本物だ。
それでも身を引くことを選んだ彼女は、悠の唇の感触を唇に刻み込むようにいつまでも重ね続けていた。