花嫁サークル!! 97
「スカート丈は、学校の許可を最優先し、学校規定に準じることするのですが……」
里奈は裾から一番遠いラインの部分を指差し、
「ここにファスナーをつけることで着脱可能にし、膝上15センチにすることが可能なのですよ」
「なるほどっ」
何かに感心を表す美穂。
「スカート丈が学校規定というのは、とてもいい武器になると思う」
と花音が自信を示す。
「私からは以上なのです」
里奈が席に戻り
「何かありますか?」
とルナが全体に投げ掛けた。
「あの、さ」
自然と挙手をしてしまう悠。
「どうかされましたか?」
「何でわざわざファスナーつけるの?」
彼の疑問はもっともである。
丈が学校規定であれば事足りるのに、わざわざ短くなるようにする必要はないだろう。
「それは……お楽しみのためですよ……」
顔を赤らめるルナを見て、悠はどす黒い妄想を頭に描かざるを得なくなった。
そして彼の妄想通りのために、ファスナーはついている。
どうせ作るなら、アイテムとしても使えた方がいいに決まっている。
「他にありますか?」
ルナは辺りを見渡し、質問がないことを確認すると
「では、純華。お願いします」
と言って純華を呼んだ。
彼女は前に出ると、黒板に図を書き始める。
そして手を止めると、振り返った。
「話し合いで決まったように、撮影は禁止です。ですので、家庭科準備室に荷物を置いてもらうスペースを設けたいと思います」
家庭科室の前の入り口から準備室までを衝立で区切り、準備室まで誘導する。
準備室にはあらかじめテーブル番号と対応したバスケットを用意し、そこで管理する仕組みだ。
財布のみ、喫茶内に持ち込み可能とする。
それを拒まれた場合は退店してもらうことにした。
不正があった場合は容赦なく破壊し、プライバシー保護の観点から学校にもその旨を説得するという。
「準備室の管理は涼子さんにお任せいたします。乱暴な方がいらっしゃったら対応に困りますので」
涼子は護身術や格闘技など、かなりの心得があった。
そのため、一人娘である純華の側近を任されているのだ。
他にも沢山の技術を持っているが、ここでは割愛しておく。
入り口からの誘導は、悠の仕事だそうだ。
何かさせてくれと言われる前に、既に役割を与えておいたというところだろう。
ちなみに、このシステムは涼子の提案である。
神楽崎家の一人娘が、文化祭と謂えどもメイド喫茶でメイドをやるというのは、あまり良い印象を与えない。
実際、このことを知っている神楽崎に関わる人物は涼子だけなのだ。
何かの記録に残され出回ろうものなら、神楽崎の家にも何かしら悪影響が出る。
特にネットに掲載でもされたら、あることないこと書き立てられるのは必至なのだ。