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花嫁サークル!!
官能リレー小説 - ハーレム

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花嫁サークル!! 66

彼がもたらした体温は、まどかが欲しいと思っていた温かさそのものであった。

────────

次の日。
彼らは騒がしい朝を迎えていた。

「だから不可抗力だって言ってるでしょ?!」

「何それ?! 意味不明っ!」

「まぁまぁ……二人とも落ち着けよ」

口論を繰り広げる愛とまどか。
その間に割って入る悠は死を覚悟しているかもしれない。
修羅場と呼ぶに相応しいこの状況は、愛が悠の家を訪れた数秒後に始まった。
それもそのはず。
愛はまどかの活動報告を確認せずに家を出ていたのだ。
当然、まどかが彼のうちに泊まっていることも知らず、先手をとられたという自分への不甲斐なさをまどかにぶつけるという方法をとり、今に至る。
まどかのサークル参加の第一動機を把握しているのはルナと夕貴のみ。
よって愛は、彼女が悠の花嫁を目指しているという、サークル必須方針に従っているとしか思っていない。

「久遠くんに百パーセントの満足を与えられないくせにっ!」

そう罵られながらドンっと小突かれたまどかは、肩を押さえたまま震えている。
いつもの彼女なら何かを言い返しているはずだ。
仮にも相手は愛なのだから。
いつもの威勢がないまどかの様子に、違和感を覚える愛。

「言い過ぎだぞっ」

とさらに追い討ちかけられ、とてつもない罪悪感に苛まれる。
しかしそこまで言われる覚えもないのも事実。
愛はまどかのトラウマのことを、何一つ知らないからだ。

「な、なんなのっ!」

朝から重苦しい空気が3人を包み始めている。

「愛……」

悠が彼女の肩に手をかけたと同時に、まどかはそそくさと身支度にとりかかった。
悠が何をしようとしているのかを理解したのだろう。
愛に自分の弱点とも言えることを伝えている場面に居合わせたくない、その反面、理不尽に怒りを買わせるのも心苦しいのだ。
愛の怒濤とも言えるまどかへのあたりは、必ずしも怒りだけではない。
むしろ嫉妬が大半を占めている。
それがわかるからこそ、まどかは愛に何も言い返せなかった。
でも、自分のことも理解して欲しいという願望も持ち合わせているのである。
目線で悠に何かを訴え、まどかは静かに出ていった。

「なに? ……なんですか?」

見計らったように、愛は悠に言葉を促した。

「小栗のことなんだけどな……」

それから始まった彼の話は、愛の知らないまどかの過去であった。
まどかが中学生の時のことである。
部活で遅くなった彼女は、夕闇に覆われた空の下を下校していた。
その視界が捕らえた、男の姿。
春先だと言うのに、やたらと丈の長いコートを羽織っていた。
サングラスをかけた男の口元は、不適な笑みに歪んでいた。
そして、男はコートの前を開いたのだった。
その下には何もなく、ただ歪に反り返った不気味な塊がピクピク跳ねる様子が、街灯にハッキリと映し出されていた。

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