花嫁サークル!! 7
「え? あ、ありがとう」
差し出された紙袋を受け取って、悠は照れ臭そうに頭を掻いた。
「良かったら、感想を聞かせてくださいね」
また歩を進め出しながら、美鈴は携帯を出す。
「赤外線できますか?」
「あぁ……」
彼はポケットから引っ張り出した携帯を開き、受信準備をする。
こうして、二人はアドレスを交換し合った。
川は左へ大きく折れ、それを目印に彼らは右へ曲がる。
暫く行って左へ行くと、そこには学校の西門が見えた。
正門は北向きに構えている。
さっきの川沿いをもう少し行くと、割りと大きな駅があって、その方向に向かって正門があるかたちだ。
ちなみグラウンドは、校舎の南側にあり、東側は駐車場と車両出入り口になっている。
彼らは昇降口に入って軽く言葉を交わし、分かれた。
午前中、彼はずっと美鈴のことを考えていた。
一目惚れや恋等ではなく、以前どこかで会った気がしてならないのだ。
そしてもう一つ。
自分はどこまでやっていいのだろうか、とも考えていた。
もちろん、性行為のことである。
ルナが言うように、あの“穴”を自由に使っていいのだろうか……
もしかしたら、ドッキリみたいに、ただからかわれているだけなのではないか……
しかし、実際に口でヌいてもらっている。
イタズラのためにそこまでするのであろうか……
結局考えていてもわからいままに日は高くなっていき、やがて、昼休みを迎えた。
────────
屋上。
僅かな陰に身を置いた悠がそこにいた。
いつもは教室でコンビニのパンをかじっているが、美鈴に渡された紙袋を覗いて、人気のないところへやって来たのだった。
紙袋から弁当とおぼしき物を取り出す。
なぜ屋上に来たのか……
それは、弁当の包みが超乙女チックなハンカチだったからだ。
誰かに見られているわけでもないが、彼は少し恥ずかしくなって辺りを見回した。
小説やマンガ等では屋上は人気スポットというイメージがあるが、実際にはそんなことはないんだな、と悠は変な関心をしながら包みを開く。
朝食同様に美味しく平らげた彼は、
「はぁ〜」
と息をついて横になった。
「悠様……」
錆びた扉が開く音の後に、聞き覚えのある声が悠を呼んだ。
ルナだ。
悠は驚いた様子もなく身を起こした。
彼女を呼んだのは、他ならぬ彼である。
「あ、あのさ……」
悠は口ごもった。
不思議そうに目をパチパチさせながら、彼を見上げるルナ。
「何ですか?」
「その……昨日のメールなんだけど……」
「あっ……すみません。迷惑でしたか……」
彼女は顔を赤くしつつも、悲しそうに視線を落とす。
「いや、そうじゃなくて」
悠は恥ずかしそうに顔を逸らしたが意を決して訊いた。
「……ホントなの?」
と。