花嫁サークル!! 56
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期末試験まで一週間を切った、7月の上旬。
朝から頭をもたげている悠の愚直は、柔らかな肌に包まれていた。
「ん……んふっ……」
先走り汁は舌先に絡め取られ、そのまま亀頭に塗り付けられる。
「……っん!」
濃いエキスが噴き出し、それは口内におさめられる。
「んんっ、んふぅ……濃いっ」
全てを飲み下し、口を離す愛。
「おはよっ。悠サマっ」
胸元の粘液をティッシュで拭った彼女は、それを制服にしまい込んだ。
「あぁ、おはよ」
悠はグッと伸び上がり、衣服を整える。
「も、もう終わった?」
キッチンに、こちらに背を向けて立つ少女が問い掛ける。
「うん、終わった」
愛が答えると、少女は振り返った。
「……ったく。信じらんない」
そう呟く少女、小栗まどかは、おそらく彼女が作ったであろう朝食を並べ始める。
「非公認のサークル活動なんだから、とやかく言われる筋合いないって。イヤなら辞めたらいいじゃない」
涼しげな顔の愛は、きつい口調で捲し立てる。
「それはヤダ。あんたには負けないんだから」
まどかは愛を睨むように目を細める。
山谷愛と小栗まどか。
彼女たちはテニス部に所属している。
外見を除いてあらゆることでそっくりな彼女たちは、互いをライバル視していた。
志穂程ではないが、学力は高く、テニスもそれなりの実力があり、胸の大きさや身長なども全くと言っていいほど同じである。
故に、愛が自分より先に恋人ができてしまうのではないかという状況から、まどかも花嫁選考サークルに入った。
しかし彼自身に興味がないため、彼女の限界は他のメンバーよりかなり低い。
愛が施す朝のご奉仕にすら、目を逸らしていたほどである。
まどかの目的は悠を奪うことではなく、愛の妨害だ。
理由が理由なだけに性交渉を行う気がない彼女は、それ以外で自身の魅力をアピールするつもりでいる。
「はい、アーン」
「やだぁ。こっちからっ」
愛を押し退けてまどかが前に出る。
猫なで声で悠に迫る彼女は、甘えるように表情を崩す。
(俺って一体……)
そんなことを思いながら、悠は口を開けた。
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「は? そんな理由で?」
曇天の下、屋上に響いた悠の声。
「はいっ。そうです」
ルナはニコニコしていた。
「いや……つーか、なんで参加させたわけ?!」
「参加は自由ですから。規約に従うのであれば、拒む必要はありません」
しらっと答えるルナ。
「花嫁を目指す者の集団じゃなかったのか?!」
「まどかの場合、一応二番目の目的にそれがあると伺っています」
どうやらそういうことらしい。
まどかは意地でも愛の邪魔をしたいようだ。
「………………はぁ」
悠は呆れ気味に溜め息をつく。