花嫁サークル!! 225
「普通のビラでいいんじゃないかな?」
期待の眼差しが、嘆息と共に冷たいものへと変化していく。
「全っ然わかってないっ」
まどかは両手の平を上に向け、肩を竦めてみせた。
「可愛いにこしたことはないって」
と冬香も小さく洩らす。
だがしかし、彼の主張は男性目線そのものだ。
メニュー表は、メニューと値段がわかれば問題ない。
「でも、ビラならリーズナブルだし、追加印刷も簡単に出来るわ」
紗耶の意見はもっともだ。
「あ、あのっ、あの……メニュー表を、3つくらい作りまして、つかっ、使い回しましまし……コホンっ、使い回し、ビラで、補う、と、いうののののは、どうですか……?」
「それはいいわね」
噛みまくりなところはスルーして内容だけをピックアップした小春は、理央の提案に賛同を示した。
「3つくらいならデジカメ印刷でも間に合うし、それなら家でできるんじゃない?」
「確かに……」
方針は固まったようだ。
「では、早速被写体を作りましょうか。スキル確認もしておかないと」
「ちょっと待って」
ルナが作ろうとした流れをせき止めたのは愛だ。
「……そろそろ行かなきゃ」
「もうそんな時間?」
慌ててまどかも時計に目を遣る。
当然だが、部活動も普通に行われているのだ。
特に学園祭の準備に時間を割かれる今頃は、土日は重宝されるのである。
「じゃあ後で……お楽しみはちゃんととっといてよねっ」
「皆で決めたことは……ちゃんと守るよ」
愛の要求に対する夕貴の応答は、ここに来て初めて聞かれた彼女の声でもあった。
「何? これ……」
良く言えばスープごはん。
悪く言えば
「猫まんま」
である。
夏希の言葉に、皆絶句した。
「不満?」
「いや、不満と言うか……」
何と言うか……。
「お……美味しいとは思うけど、喫茶店のメニューには向かないと思うな……」
小春は無理に微笑を作り、夏希を言いくるめる。
「なんで?」
「なんでって……」
表情をひきつらせる美穂。
それを目線であしらい、夏希は器を手にとった。
「皆、出されたら食べるでしょ?」
彼女の視線は自然に悠へと向かう。
「ね?」
器を床の上において夏希は、意味深な笑みを口角に表す。
「あの……今回私たちは『出す側』なのです……」
「……で、こっちの苺のっけただけのは何?」
千秋は怪訝な顔で苺が盛り付けられた皿を指差した。
「練乳かける予定じゃなかった?」
「今からかけようかと……」
美穂の疑問に、花音はうっとりとした様子で身を捩った。
彼女の視線の先には、悠。
正しくは彼の股間に熱い眼差しを送り込んでいる。