花嫁サークル!! 3
「で……まさか花嫁を選べと……??」
「いえ、すぐじゃなくても良いですよ」
「このような活動をして悠様に気に入ってもらえるよう努力しますので」
「は、はぁ……」
彼は気のない声を出していた。
「ちなみに、メンバーってのは2人だけ……だよな?」
「いえ? まだまだいますっ」
「なぬっ!」
「詳しくはホームページを覗いていただければありがたいのですが……承認報告をしたら、参加者が増えると思いますので」
「あ……さよですか」
「あと、お願いがあるのですが……」
「な、なに??」
愛は悠にその内容を告げ、彼は不思議に思いながらもそれを承諾した。
「「じゃあ、また明日……」」
彼女たちは立ち上がると、教室を出て行こうとしたが
「あっ」
とルナが声を上げ、いそいそと戻ってきた。
「これ、私たちの携帯番号とアドレスです。悠様の為ならいつでも性処理しますから、遠慮なく呼び出してくださいっ」
と、可愛らしい顔からは想像できないような言葉を残し、教室を出ていった。
八畳の空間にセパレートの風呂場とトイレ、キッチン、玄関がくっついた一室。
そこに、帰宅した悠の姿があった。
学生用のこのアパートは、悠以外には大学生しか住んでいない。
「はあぁ」
彼は荷物をベッドへ放ると、その縁を背に座り込み、わざとらしい程大きな溜め息を吐いた。
正面にはテーブル、その上にはノートパソコン。
さらに、その向こうにはテレビが見える。
帰りに寄ったコンビニで買った1Lの緑茶を取り出し、口を開けると、悠はゴクゴクと喉を潤した。
(どーなってんだ……)
暫く何も映っていないテレビをぼんやりと眺めていた彼は、洗濯物の存在を思い出し、ベランダへ出た。
初夏独特の涼しい風が悠の肌を撫で上げていく。
夕闇の訪れた空は、深い紫が覆っていた。
彼は干していたものを一まとめにし、中へと戻る。
量はそんなにない。
およそ2日に1回のペースで洗濯物を行っているからだ。
取り込んだものを几帳面に畳み、それは隅の方にある籠へ入れられた。
「ふぅ〜……」
彼はまた溜め息を洩らし、ポケットに手を入れた。
そこには、カップラーメンを啜りながらパソコンを眺める悠の姿があった。
ルナから受け取った紙片、そこには、気を利かせたのか、ホームページとやらのURLも記載してある。
彼は規約なるページを覗き、ほぼ説明された通りだと確認した。
麺のなくなったカップを傾けながら、今度は【メンバー】というコンテンツをクリックしてみる。
「ぶふっ!!」
思わず吹き出しそうになる悠。
慌てて口内の物を嚥下し、
「こんなにいるのか?!」
と、困惑半分歓喜半分の声を上げた。