花嫁サークル!! 193
夜。
美術室の内装や受付のシフト等の話し合いがあった美鈴。
彼女は悠の家に着き、夕飯を終えてしばらく経った頃。
「先輩……あの……」
雑談の腰を折った美鈴は、ちらちらと時計に目を向けながら悠に話し掛けた。
「ん? どした?」
「矢野ちゃんがエッチしたいってさ」
悠の疑問に美穂が答える。
美鈴は真っ赤な顔をしながらもその台詞を否定はしない。
寧ろ、大きな瞳に固い意思を持たせ、真っ直ぐに彼に向けられる。
「お願いします……悠様……」
放課後にアピールタイムをもらった美穂は、しばらくお預けをくらうことになるらしい。
二学期を迎える段階で正式候補の人数がサークルの予想を大きく上回っていたために、正式候補のメンバーとそうでないメンバーとでペアを組むことにしたのだ。
また、部活に入っているかどうかも加味することで、時間の有効活用を図ったのである。
今回の場合、放課後に美穂が正式候補へのアプローチにあて、部活後は美鈴にプラスアルファの個別アピールタイムがあるのである。
無論、そのシステムは悠の意思によって変わることがある。
例えば彼が3Pを望めば、それは悠の願望として捉えられ、二人はそれに応じるであろう。
加えて、考慮されているのは下校後の時間のみ。
登校してから放課後を迎えるまでの間は、悠は皆のものと認識される。
その間は誰がどのようにアプローチしても恨みっこ無しなのだ。
「ってわけ」
と、美穂は長い説明を事細かく悠に伝えた。
「ねぇ……3P、したいでしょ?」
彼女は胸元を強調させながら妖艶な視線を悠に向けた。
美穂は美鈴と同じ土俵に立つに至ったため、今から美鈴だけを相手にするのは面白くないのである。
美鈴は静かに闘志を燃やしているかのように、ただ、瞳で何かを訴えていた。
「ねーぇ……」
猫なで声でにじり寄る美穂。
「いや、美穂はお預けにしよう」
「むぅ……」
頬を膨らます美穂に変わり、美鈴の表情は少し明るくなった。
「んじゃあ、パソコン借るね」
拗ねたように吐き捨てた彼女は、ホームページへの報告を今のうちに済ますことにしたようだ。
パソコンに向かい合う美穂の横で、悠と美鈴は肌を重ねるという摩訶不思議な状態である。
そんなことは余り気に留めず、美鈴は一つの決意を以て口を開いた。
「悠様の色に染めてください……」
今朝にも聞いたその言葉。
悠にはその意味がわかっている。
彼女には余り深いアブノーマルを強いていない悠。
純潔が眩しすぎて、それを侵すことに躊躇いがある。
しかしその配慮が、逆に彼女を蝕む結果となっていたのだ。
どうして私だけ……そんな焦燥が胸を締め付けている。
眼差しにはその切迫が滲み出ており、悠の動悸を激しくさせた。
「……脱いで」
彼がそう言うと、美鈴はそろりと制服を剥ぎ始める。