花嫁サークル!! 19
しかし彼は、不思議な親近感を覚えていた。
花嫁選考サークルのメンバーには、食事を作ってもらったり、奉仕をしてもらったりと、してもらうことが殆どだった。
こうして彼女たちに“する”ことにより、悠は、漸く対等な位置に立てた気がしていた。
「どうですかぁ〜?」
窓を開けて顔だけを外に出し、里奈が様子を窺う。
「全くいいご身分だなぁ」
嫌味ったらしく言うと、美鈴が後ろからひょっこり顔を出し、
「外は暑いので……」
「「ね〜」」
と二人顔を合わせて言う。
子供めっ! と悠は内心で悪態をついた。
「はいはい、邪魔しないの〜」
愛が二人を宥めて
「どうですか?」
と彼に訊いた。
まるで二人をあやす姉のようである。
「ここに来て見てみればいいじゃないか」
「暑いので……」
「お前もかっ!」
「冗談ですよ、冗談っ」
テへッといった様子で外へ出てくる愛。
彼は
「どうよ?」
と、彼は軍手をはめた手で額を拭いながら得意顔を浮かべた。
「うん、良い感じっ。皆を呼んできますね……くくっ」
何故か笑いを堪えながら、愛は室内に入っていった。
愛に呼ばれて皆外へと出てくる。
日の光がオレンジになりつつある時間帯、少し早いがバーベキュー開始のようだ。
「顔が真っ黒ですよ〜」
里奈が彼を指差して笑った。
愛が笑いを堪えたのは、どうやらそれのせいらしい。
「あ〜ぁ、バレちゃった」
愛は残念そうにこぼした。
彼女はイタズラ好きな面があるらしい。
こうしてコミュニケーションをとっていくと、悠の知らなかった彼女たちの一面が見えてくる。
彼にはそれがどこか嬉しかった。
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それなりに盛り上がったバーベキューも終わり片付けも済んだ頃、辺りはすっかり暗くなっていた。
「これからどうすんだ?」
予定を知らない悠は、企画者であろうルナに訊くと
「寝るだけです」
と笑顔で返された。
確かに海があるといっても今から遊泳できるわけでもなく、森があるといっても昆虫採集をするわけでもない。
「そうか……怖い話しでもし「イヤです」
彼が言い切る前に美鈴が一刀両断した。
「ん〜……ってか、ここ風呂あるの?」
「ありますよ」
「じゃあ入ってきたら? レディファーストってやつだ」
「では……」
と、愛と美鈴、里奈が立ち上がって浴室へと向かった。
「一度に三人も入れるのか……」
妙に感心する悠に、純華はぎこちなく頷いた。
変な緊張感が立ち込める。
「なぁ、ルナ……」
「はい?」
「まさかとは思うんだけど……」
純華の様子に違和感を覚えた悠は、確認せずにはいられなかった。
「次は……誰が入るんだ?」
「私たちですよ?」
ルナとの応答の間に純華の顔が紅潮していく。
彼の考えは当たりのようだ。
「それって……」
「私と純華と、悠様です」
ぎこちない笑顔でルナが答えた。