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花嫁サークル!!
官能リレー小説 - ハーレム

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花嫁サークル!! 158

悠が知りたがっている。
彼女を見詰める視線は表情だけでなく、押し込められたもう一人の自分を探している。
どうして……。
それを明かしたところで、彼が困るだけなのに。
母親がそうだったように……。

「お嫁さんって、旦那さんを支えてくれるよな。ルナが俺にするみたいに。でもさ……」

ルナを見詰める眼差し。
射抜かれる心。

「旦那さんもお嫁さんを支えなきゃ、それは本当の夫婦じゃないんじゃないかな」

ルナにはわかる。
その台詞だけで、悠が自分を支えてくれようとしていることが。
彼女は片親になってから変わった。
わがままを言うと母親を困らせるので色んなことを我慢してきた。
言われる前に、やるべきことをやった。
そのためか、皮肉にも人の顔色を窺うことが得意技となっている。
内心を汲むことができるようになった。
でも、自分の事はどうだったのだろう。
本心はどうなのだろう。
それを抑え込むことは、寧ろ無意識にできるくらいである。

「もう一度訊くけど」

鋭い視線が鎖を引き千切る。
一閃の光が煌めき、火花を散らす。
熱いが、温かい火花を。

「お前の気持ちを教えてくれ、ルナ」

彼女の気持ちは、一言で表せるほど単純ではない。
寧ろ言葉にできないくらいだ。
気持ちを抑える度に、あの日の約束を支えにしてきた。
あの約束は、あの頃を思い出させてくれたから。
ルナが母親にした初めての我儘は、ここの高校へ通うということだけ。
そしてルナは、いちるの望みを持って祖父母の家に転がり込んだのだった。
それもこれも、全部悠の嫁になるためだ。
悠に会えば、きっとまた笑ってくれる。
夕貴に会えば、きっとまた笑ってくれる。

 ――気づいて欲しいことって……あるでしょ?

夕貴に洩らしてしまった望み。
それが今叶ったのだ。

「好き……好き好き、大好き……」

ルナが流す涙を見て、悠は微笑んでいた。
ようやくルナという人物を目の当たりにした気持ちになっていた。

「ずっと一緒にいたいっ……ずっと……ずっと……。もう離したくないのっ。お願い……嫌いにならないでっ……」

「嫌いになんかならないよ」

目尻を拭い続ける彼女の手を取り、彼は胸元へ引き寄せた。

「今のルナは……素直になってくれたルナは、大好きだよ」

「ゆっくん……」

繋がった二人の時間。
ルナの体を包む温もりは、凍てついた心を溶かしていく。
それは……そう、まるで魔法をかけるかのように、ルナの独白を促した。

「諦めたくない……悔しいの、ゆっくん。私だって、ゆっくんを受け止められる、包み込める、支えられる。でもゆっくんは、理央を求めてる……悔しいよ、ゆっくん……」

「ありがとう、ルナ」

悠は苦しくて仕方がなかった。

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