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花嫁サークル!!
官能リレー小説 - ハーレム

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花嫁サークル!! 157

「怒られたくないから怒ってくれ、気遣って欲しいから気を遣わないでくれ……違うか?」

「違います」

言いきるも、ルナの胸中は詰まっていた。
激しい動悸が胸を叩き、苦しいと訴えて来る。

「全て悠様を思ってのことです」

「……だろうな」

何故か笑顔を溢した悠。

「そう思ったから、礼を言ったんだ。理央を見たときは、コイツまで捲き込んだのかって思ったけどさ」

その言葉は、理央の存在を大切にしていることを窺わせた。
言葉の断片、余韻、トーン、モーション、視線……それらから悠の望みを探る。
勝手にそうしてしまう。

「……苦しいな。気持ちを曲げるってのは」

「ですから、責めてください。気の済むまで……」

二人は車止めをかわし、中へ踏み入った。
夕暮れのそこは閑散で溢れている。

「さっき……俺を思ってのことだって言ったよな?」

「はい。悠様のためなら何でもできます。ですから責めてください。私を……」

怒りをぶつけてもらえないもどかしさに、ルナは早口になっていた。
自分の思惑とは違う……苛立っているはずなのに、それ以外の冷静さも彼の横顔から窺える。
何故。
さっきはあんなに怒り狂っていたはずなのに、今は怒りと冷静さと、得体の知れない何かを隠し持っている。
それが怖い。
怖くて仕方がない。
いっそのこと怒鳴り散らされて、責められて、恨まれた方が、自分の予想通りでまだ楽だ。

「じゃあルナ。お前の気持ちを教えてくれよ」

何を今さら……ルナは内心で思っていた。
そんなこと、わかりきっているではないか。

「好きです」

「……そっか」

悠は表情を曇らせた。
あまりにも機械的すぎる。
ルナの気持ちは、まるでプログラミングされているかのようにわかりやすく、端的で、単純だ。
彼女の言動は全てが悠のためを思ったのもので、それこそ、悠専用のメイドを通り越したロボットのようである。
だが違う。
ルナは感情を持った人間だ。
そのルナの持つ気持ちを、彼女の望みが知りたいのだ。

「私に想われるのは……ご不満なのですね……」

悠の表情が物語っている。

「……そうだな。今は」

悠は手を突く。
古ぼけた桜の幹に、一つの希望を込めて。

「みっちゃんなんだろ?」

「え……?」

優しく腕を伸ばした桜の樹は、彼らを過去へと導いていく。

「お前も誕生日が一緒だって……夕貴、言ってたよな。みっちゃんも、同じ誕生日でさ……よくここで遊んだよ。三人で」

ルナの表情を窺う悠。
初めて見る、彼女の動揺した顔。
その理由を知りたい。

「去年越してきたルナにとって、この場所はいつから思い出の場所になったんだ? 俺はずっとここに来なかったのに……」

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