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花嫁サークル!!
官能リレー小説 - ハーレム

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花嫁サークル!! 151

悠はふっと表情を綻ばせ、ファイルを閉じた。

「もういいのです?」

「あぁ。今日は帰るよ。里奈が辛そうだから」

彼女は顔を赤くするも、寂しそうな眼差しを彼に向けた。

「それに、続きを残しとけばまたここに来れるだろ?」

「また来てくれるのです?」

「あぁ、約束だ」

 ――約束だよ? ゆっくん、ゆーちゃん。

「……お兄ちゃん? どうしたのです?」

小指を絡めたまま動かない悠を里奈が覗き込む。

「いや……なんでもない」

ふっと我に返った彼は、小指を絡めた手を振り出した。

――――――――

次の日。
学校を訪れた悠は、中庭のベンチに座っていた。
高い位置にある太陽は恨めしい位に燦々と輝いている。

「ごめーんっ。ちょっと長引いちゃって」

必死に駆けてきた花音は、息を切らしながら悠の横に座った。

「あ、いえ。忙しいのにすみません」

彼がここへ来たのは花音に会うためだ。
一ヶ月半先の学園祭を取り仕切る生徒会。
下準備は山場を迎えており、彼女が学校に来る頻度は高い。
案の定、昨日里奈の家から帰宅した彼が花音に連絡すると、今日の昼間にここへ来るよう頼まれたのだった。

「久遠くんのその話し方、新鮮な感じがする」

先輩である花音にタメ口を利くのは、この場ではさすがに憚られる。

「で……話って?」

早速本題を窺う花音。
彼女の頬が桜色なのは、走って来たことだけが原因ではない。
悠に呼び出されたとなると、否応なしに気持ちが反応してしまう。

「花音先輩、『チェンジ』って知ってますよね?」

悠はアプローチの路線変更を試みる。
内容から意見を交わし、花音の反応を窺おうというわけだ。
ところが、彼女はポカンとした顔で

「何それ?」

と口にしたのだった。

「えぇっ?!」

悠に衝撃が走る。
あんな台詞、あの漫画以外のどこから知り得るんだ、と。

「だって、『やってみなくちゃ始まんないし』って言ってたじゃないですかっ」

「あぁ、あれ?」

花音はスッと立ち上がった。

「『やってみねーと始まんねー』バイ、久遠悠」

まるで格言のように呟いた彼女は、金色のツインテールを翻し

「あなたが教えてくれたんだよ」

と笑顔を浮かべた。

「俺?!」

またまた悠に衝撃が走る。
心当たりが全くない。

「今、結衣の気持ちがとってもよくわかるの」

彼女は笑顔を崩さないまま

「すごくムカつく」

と言い放った。

「久遠くんは遠回りし過ぎだよ。じっくり知ってもらうのも悪くないけど……もっと単純に考えて?」

「単純に……」

「うん。ついて来て」

誘われるままに悠は花音の後を追った。
昇降口から校舎内に入り、渡り廊下を通って特別教室の集まる棟に至る。
さらに二階へ上がった二人は、廊下の突き当たりまでやってきた。

「ここが……何か……?」

悠が恐る恐る尋ねる。

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