PiPi's World 投稿小説

花嫁サークル!!
官能リレー小説 - ハーレム

の最初へ
 141
 143
の最後へ

花嫁サークル!! 143

取って変わるものとして当時彼女だった理央に本を薦められた悠は、初めて図書室に行った。
理央と違って魔道書など探す気もなかった彼は、普通の本を借り、読み、返しに行く。
あの時に借りた本はなんだったのか。
室内に見当たらない目的の書物。
あの時、意外とのめり込んだ印象。
合致する結衣との意見。
そして彼は気付く。
あの時借りた本が『森』であったことに。
しかし夏休みの間図書室は締まっていて、手をつけようにも手段が見当たらない。
一旦結衣のことは置いといて、彼は次にするべきことを考えていた。

――――――――

次の日。

「新メンバーの歓迎会?」

悠は里奈の言葉をおうむ返しに詰問した。

「そうなのですっ」

彼女はにこにこして肯定を示す。

「ちなみに……1人だけ……だよな?」

「軽く20人くらいいるのです」

その返答に彼は言葉を失う他ない。

「じょ、冗談なのですっ! 1人だけなのですっ! 1人だけなのですよぉっ!」

卒倒しかける悠に焦った里奈は、彼の体を揺すって意識をこちらへ呼び戻した。

「と言うわけで、久遠先輩の予定を教えてもらいたいのです」

「予定っつっても……」

超暇人である。
花嫁選考サークルのことを考えるくらいしかない。
友だちと遊ぶ予定はいつも飛び入りばかりで、今のところ、残りの夏休みは白紙状態だ。

「では、3日後の夜、予定を空けておいて欲しいのです」

「了解」

3日後にここ、悠の家で16時から執り行われる運びとなった。

「あ、そうだ」

悠は何かを思い出し、里奈の顔を覗き込む。

「な、何ですか?」

俄にして彼女の頬は赤らんだ。

「『チェンジ』知ってる?」

「あ、当たり前なのですよっ……」

そう吐き捨てた彼女の中で何かが萎んでいく。

「あれ、終わったんだろ?」

「そうなのです。ま、無理に長引かせて中弛みするよりは全然いいのですよ」

「それ、まだある?」

「……はい?」

彼がどの辺りまで読んでいて、そこからの続きの分が残っているかを確認する。
その雑誌を買わなくなって既に1年。
週刊誌のそれを保存していたら、里奈の家はどうなっていることやら。
しかし意外にも

「あるのですよ?」

と呟く里奈。

「気に入っているものは、ファイリングしているのです」

誇らしげに胸を張る里奈。
名誉なことに、『チェンジ』は彼女のお気に入り作品に選ばれていたらしい。

「お願い! 貸して!」

悠は顔の前で手を合わせた。
続きが気になるというのもあるが、もう1つ目的がある。
『チェンジ』は魔法使いと人間が共存する世界が舞台で、魔法使いの主人公が人間のヒロインと出会い、共存ではなく共生の世界に変えていく話である。
人間界と魔法界に蔓延る闇に触れ、共生できない問題を処理し、同じ世界観を持つ仲間を増やしていくのだ。

SNSでこの小説を紹介

ハーレムの他のリレー小説

こちらから小説を探す