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花嫁サークル!!
官能リレー小説 - ハーレム

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花嫁サークル!! 126

「えっとね……あっちに資料があるからちょっと待ってて」

「私も行く」

「そう? じゃあ、行きましょ」

小春は紗耶の手を取り、嬉しそうに笑顔を浮かべる。
遠ざかっていく二人を、ルナと千秋はやはり呆然と見送っていた。



その公園に夕貴の姿があった。
古びたブランコの軋む音が、公園の静けさを際立たせる。
勢いよく漕いでいたあの頃とは違い、今は足を地面につけたままゆっくりと膝を曲げ伸ばししているだけだ。
悠は、あの頃の何を覚えているのだろう。
俯き加減の夕貴はそのことばかり考えていた。
仮に自分が選ばれなくても、皆と仲良くしていたい。
たとえルナが選ばれたとしても、自分はルナと友だちでいられる自信がある。
でも、自分が選ばれたらどうなるのだろう。
皆は仲良くしてくれるだろうか……ルナと友だちでいられるだろうか……。
桜の木の下で交わした約束。
ルナも夕貴もずっと覚えている。
彼女にとっての約束は悠の花嫁になることに重きがない。
いつまでも仲良しでいることに意味があるのだ。
ブランコの軋む音は響き続ける。
いつまでも、いつまでも……。



「ごめん。電車乗っててさ」

雑踏の中に悠はいた。
携帯電話で通話しながら、器用に人の波を避けていく。

「うん。今から? 随分急だな……何かあったのか? いや……うん……つか、俺、京都なんだけど」

しかも今から乗り換えて、京都の北部へ向かう予定である。

「あ、いや……明日には帰る。夜、空いてるか? うん……すまんな。じゃあ、それで……」

暫くして通話は終わった。
2泊の予定を1泊にした悠。
電話の相手はそれだけの影響を及ぼす人物である。
悠は浮かない顔をして乗り継ぎのホームヘ向かった。

――――――――

そして、次の日。
悠は、約束通りに戻ってきた。
空には夕闇が迫っており、綺麗なグラデーションを見せている。
駅を出てすぐの噴水を囲むベンチで、その人物を発見した悠。

「あ……悠。ごめんね。疲れてるのに」

「別にいいよ。電車ん中で寝てたし」

「でも、ご両親に久し振りに会ったんでしょ?」

「それはそれ、これはこれ」

ぎこちない笑顔を作る悠。
それを見たその女の子は、一層表情を曇らせた。

「だいぶイメチェンしたんだな、理央」

「うん。似合う?」

理央は首を傾げて見せた。
肩に触れた毛先は遊び、動くたびにふわふわ揺れる。
きっちり三つ編みに縛り付けられていた鬱憤を晴らすかのように。
黒かった髪は明るい茶色に染まり、抑えていたものが弾けたような印象を受ける。
その頭にちょこんと被せられた麦藁のカンカン帽が彼女をカジュアルに見せていた。
エナメル質のパンプスから伸びる脚はツルリとした質感のオーバーニーソックスに覆われ、その上にある短い丈のスカートは裾が広がり、スパンコールがキラキラと光る。

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