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花嫁サークル!!
官能リレー小説 - ハーレム

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花嫁サークル!! 123

「……でも服は変えた方がいいかも。地味だし、制服の方が全然マシ」

「ちょっと、言い過ぎじゃない?」

「全然?」

美穂は悪戯に笑い、志穂もつられて顔を綻ばせた。

「私、サークルに入って良かった」

「なに? いきなり……」

「サークルに入ってなかったら、きっと美穂とは気まずいままだった」

一瞬強張った美穂の頬に志穂の手が重なる。

「覚えてる? 初めて久遠くんの家へ行く途中……私たち一言も話してなかった」

美穂の視線は横へ逸れ、志穂を視界から外す。

「あれは3日目だったかな? 料理を教えろって……悔しそうに」

クスリと笑う志穂とは対象的に、美穂は顔を赤くしていた。

「私も思った。『恋敵に訊く?』って。でも、嬉しかったの。美穂に頼られたことが」

「ちょっ、ストップストップ! もういいでしょ、その話は。なんかこうっ……ムズムズするからっ」

美穂は慌てて志穂の口を手でおさえた。

「じゃあ買い物に付き合ってもらおうかな?」

「むぅ……行きゃいいんでしょ、行きゃあ」

仕方ないなと言わんばかりに美穂は腕を組み直していた。



食事を終えた純華が口元を拭う。
両親は一族の墓がある九州の方へ先に発っていた。
今日は涼子と一緒にそこへ向かい、合流する手筈になっている。

「2時間後には出ますので、それまでに準備をなさってください」

「はい」

ニコリと笑って首を傾ける純華。
彼女が漂わせる品はこの豪邸に似つかわしい。
文句の一つも言わずに返事だけを返し、彼女のすることはいつも賞賛される。
室外へ出ていく純華を見送ったあと、涼子は書斎を訪れた。
懐中時計を忘れたから持ってきて欲しいと言われていたのだ。
そしてその懐中時計は、机の上で光を返している。
無造作に置かれたと言うよりは、いつでも目につくように据えられていると言った方が適当だろう。
涼子は懐中時計を手に取り、観察した。
鈍く光を返す様子は年期を感じさせるが、今でもしっかり時を刻んでいるようだ。
神楽崎の大黒柱が持つものにしては、他の物よりも劣るように見える。
実際、懐中時計を開いているところは見たことがなく、いつもきらびやかな腕時計を見ていたように思われた。
懐中時計の裏側には、見たこともないロゴが「R≡M」と刻まれている。
涼子は右手の人差し指を立て、頬にあてた。
腕時計を使っているのに懐中時計が必要なのだろうか。
しばしの思案を巡らせる。
そして、何かに気付いたように瞼を開いた。
「R≡M」はロゴではなく、名前。
純華の父親、亮輔と……涼子の母親、美佳子。
それぞれの頭文字が三本の線で結ばれているのだ。
驚いたままの表情でもう一度懐中時計に視線を落としてみる。
そして、フッと鼻にかかった笑いを浮かべた。
イニシャル説を否定し、一瞬でもそんなことを考えた自分への嘲笑だ。

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