媚薬体質!? 3
薬局で薬草と報酬を交換すると、裏通りに向かう。この時間なら猫は日陰で寝ていることが多いからだ。
「ブチ模様…青の首輪……」
物陰や建物の間には野良が転がりまくっていた。さすがにすぐには無理そうだ。
ごろごろとしている野良猫をさっと見てみる。
「ブチ模様の猫って・・・。」
さっと見回しても、ブチ模様の猫など数えるのも嫌になってくる。
「はぁ・・・。千里の道も一歩からってねぇ・・・。」
地道にブチ模様の猫一匹一匹の首輪を確認していく。
しかし、猫も動物だ。動き回るわ、寄って来るわ、逃げ出すわ・・・。
「猫の手も借りたいねぇ・・・。」
そのとき、ポスッと頭上に重さを感じる。
どうやら、窓かなんかから降り立った猫だろう。耳元でミーミー鳴いていやがる。
俺は、首根っこを捕まえると犯人を目の前に持って来る。
首輪をしている上に、ブチ模様の中々ふてぶてしい顔をした猫だ。
「テメェが、ご依頼の品ですか・・・。」
俺の人生、偶然という歯車も全力で回転してくれるらしい。
………
依頼主に猫を突きつけてギルドから金を貰う。
まぁ、たかが迷い猫の捜索だ。報酬も大したことはない。宿に泊まれば八割は消えそうだ。
「どうすっかなぁ…。」
頭に浮かぶのは、高額依頼の紫竜の討伐だ。報酬も数ヶ月は遊んで暮らせるだけあった筈だ。まぁ、報酬と命の危険は比例するから死亡フラグバリバリだ。
財布の中身を確認する。
悲しいかな、紫竜の討伐準備の支度金ぐらいはある。お膳立ては完璧、背水の陣で臨める。
「受けてみるかな……。」
俺は依頼を受けるため再びギルドの方へと足を向けるのだった。
依頼の申請をすませた俺は何も食べてなかったことに気付いて、屋台で軽食を買うと一度宿に戻ることにした。
「はぁ…なかなか旨かったな……」
腹を満たした後、ベットに寝転がり今夜の野菜泥棒退治の算段を立て始めた。相手の人数や殺す必要が無いことを思えば鉈刀は使い辛い。そこで鉄針を使うことにした。痺れ毒でも塗っておけば十分脅しになるだろう。そう考えて一休みすることにした。