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近所のお姉さん
官能リレー小説 - 年上

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近所のお姉さん 31

リフト…スキー場で芽生える恋の半分以上はリフトが原因とされている。
いわゆる“吊り橋効果”的な作用が働くためであろう。
まあそんな事はどうでも良い。
五人はリフト乗り場にやって来た。
「あ…あの…きょ…京子お姉ちゃん…」
祐也が京子をリフトに誘おうとした瞬間
「京子ちゃ〜ん♪な〜にさっきから辛気臭い顔してるんですかぁ〜?」
「祐也く〜ん♪私と一緒にリフト乗ろ〜!」
京子の隣に百合香が、祐也の隣に景子が付いてしまった。
「お…おい!お前達!京子と祐也くんを一緒に…」
「次の方、お早くどうぞ〜」
「…あ、はい…(クソ〜!あのバカども〜!)」
けっきょく京子と祐也は別れて山頂に向かう事となった…。

「景子、百合香、お前らなぁ〜…」
山頂に到着した麻衣は、先に着いていた景子と百合香をジト目で睨み付けて詰め寄った。
「ご…ごめん麻衣!ついついハシャぎ過ぎちゃって…」
「私も…スキーなんて高校の宿泊学習以来でしたので…本当にごめんなさいでしたぁ…」
「その代わり次は一人にしないからさ!」
「いや、そこじゃないだろ!!」
「…へ?リフトで一人にされたから怒ってるんじゃないんですかぁ…?」
「私もそう思ってたけど…違うの?」
「あぁ…頭が痛くなってきた…お前達、今回のスキー旅行の“真の目的”を忘れた訳じゃないだろうな?」
「「あ…」」
「やっぱり忘れてたのか…」
一方、祐也は今度こそ京子との会話を試みようと、意を決して京子に話し掛けた。
「あの…京子お姉ちゃん…!」
「え!?な…なぁに祐也くん?」
「えっと…その…う〜んと…」
ところが、話し掛けてはみたものの、いざ話すとなると何も言葉が出て来ない。
(どうしよう…何か…何か話さなきゃいけないのに…)
そう思えば思うほど、焦る気持ちで頭の中が真っ白になっていく。
会話ひとつまともに出来ない…祐也は自分が情けなくなり泣きそうになった。
「祐也くん…」
そんな祐也の頭を京子は優しく撫で、ニコッと微笑んで言った。
「滑ろうか、祐也くん♪」
「お姉ちゃん…」
「さぁ、下まで競走しよ!」
「…うん!」
そして二人は仲良く並んで純白に光り輝くゲレンデへと身を踊らせた…。
それを見ていた麻衣、景子、百合香の三人は微笑ましく話し合う。
「…どうやら、あの二人には私達の力添えは不要だったようだな」
「ほ〜んと、やっぱ元の鞘に収まるように出来てんのねぇ〜……あれ?ちょっと待って…」
「うぅ〜、私もあんな可愛い恋人とラブラブな関係を築きたいですぅ〜…」
「そう言えばこれで私達の中で恋人がいないのはもう百合香だけだな…ははははは」
「……」
「うえ〜ん!麻衣ちゃんのイジワル〜!」
「泣くな泣くな。もう目的は達せらた事だし、私達もスキーを楽しもうじゃないか。百合香はこのスキー場で新しい恋を探せば良いさ」
「…ねえ、二人とも…」
景子は心なしか青ざめた顔で麻衣と百合香に言った。
「ん?」
「どうしましたぁ〜?」
「…いや、京子と祐也くんて、二人ともスキー滑れたっけ?」
「「あ…」」

その頃、京子と祐也の二人は恐怖に泣き叫んでいた。
「いやああぁぁぁっ!!!!止まんないぃ!!!これ止まんないよおぉぉ!!!」
「お…お姉ちゃあぁぁん!!!!僕達どんどん加速してくよおぉぉ!!!これ、どうやったら止まるのおぉぉ!!?」
大抵は途中でコケて止まるものだが、この二人、なぜか絶妙なバランス感覚でコケる事もなく滑り続けていた。
しかも狙った訳でも無いのに間違って林間コースの方へと入り込んでしまった。
「な…なんか森の中に入っちゃったよぉ〜!!!もしかして私達コースアウトしちゃったぁ!!?」
「きっとそうだよぉ!!!こんなに道が曲がりくねっててデコボコしてるなんて変だもん!!!」
「いやあああぁぁぁぁぁっ!!!?」
「うわあああぁぁぁぁぁっ!!!?」
そして二人はとうとうギャップ(凸凹)に足を取られて盛大にズッコケて止まった。
樹木に激突せずに傍らの雪山に突っ込んだのは不幸中の幸いである。
「あいたたたた…大丈夫?祐也くん…」
「う…うん…京子お姉ちゃんは…?」
「私も何とか…」
二人は雪の中から身を起こし、辺りを見回してみた。
余程の衝撃だったのか、スキー板は外れてしまっている。
「ここ…どこなのかしら…?」
「分かんない…森の中に迷い込んでから、かなり滑って来ちゃったから…」
実は林間コースなのだが二人はスキー場から離れてしまったと勘違いしていた。
「どうしよう…お姉ちゃん…?」
祐也は今にも泣きそうな顔で京子に尋ねる。
空を見れば雲行きも怪しくなり始めていた。
山の天候は変わりやすいのだ。
京子も不安だったが、立ち上がって祐也を元気付けようと、わざと陽気な声で言った。
「こらこら、祐也くん。泣いちゃダ〜メ!男の子でしょう?とりあえずこんな所で悩んでても仕方ないわ…とにかく山を下りる事を考えましょう!大丈夫、低い方へ向かって歩けば多分なんとかなるわ!」
「う…うん!」
そして二人は重いスキー靴のまま歩き出した。
スキー場とは逆の方向…本当の山中へと…。

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