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近所のお姉さん
官能リレー小説 - 年上

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近所のお姉さん 38

八年後

透き通った鐘の音と、春の柔らかい陽射しが、私たちを祝福してくれているかのように、降り注いでいる。

コンコン

「京子さん!準備は出来た?みんな待ってるよ!!」
私の一番大切な人。その優しい声に白いウエディングドレスに身を包んだ私はコクリと頷き返す。
「ええ、今行きます」
私は愛する男性にそう答えると、扉を開けて彼を迎え入れる。
「景子さんも、麻衣さんも、百合香さんも、みんなアンマリ変わってなくて驚いたよ!」
「フフフ・・・まさか四人の中で私が最初に結婚するとわね」
独身最後の夜と言う事で、無理やり連れだされた昨夜の飲み会を想いだし、私は苦笑を浮かべる。
「そんな事言ってるとまた虐められるよ」
「アラ心外ね!私、幸せ過ぎるから、寂しい身の上の友人達に自分の幸せを分けてあげてるのよ!」
私の悪戯っ子のような言葉に、彼は楽しげに笑う。
「じゃあ、行こうか」
「ええ、旦那様!」
私は彼の腕に自分の腕を絡め、控室を後にする。
「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「「ハイ!誓います!!」」
「では、指輪を交換し、誓いの口づけを行って下さい」
私たちは神父様の言う通り、互いの指輪を交換する。
「ねえ、約束覚えてる京子さん?」
「ええ、もちろんよ」
彼が私に填めてくれた指輪は、八年前に買われた物だ。
安物のほとんど玩具に毛が生えたような指輪だが、当時中学生に成ったバカリの彼にとって、精一杯無理をして購入したのだろう。
私に取ってこの指輪は、何千万円もするような高価な指輪より、遥かに価値の有る物なのだ。
指輪を交換し、誓いの口付を済ませ、私たちは教会の外に出る。
教会の外では、多くの友人たちが(主に女性)待ち構えていた。
「京子〜〜〜そろそろブーケ投げて〜〜!!」
「そうよ!次は私がブーケを取って結婚するんだから!!」
「何図々しい事言ってるのよ!私の方が先よ!!」
「景子さん、百合香さん、麻衣さん・・・」
知り合いの女性たちの言い争いに、彼は少し呆気にとられている。
「フフフフフ」
私はイケないとは思いつつも、唇からツイツイ優越感を含んだ笑い声が漏れ出してしまう。
「京子!笑ってないで早く、早く」
「ええ、分かってるわ!!」
私は手に持ったブーケをジッと見つめる。
その瞬間春の日差しを浴びて、薬指に填められた指輪がキラッと光った。
(この幸せが何時までも続きますように)
「え〜い!!」
京子はそう願いを込めながら、澄み切った青空に向けて、ブーケを高く放り投げたのだった。



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