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もうじき
官能リレー小説 - 人妻/熟女

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もうじき 13

「煙草、喫ってもいいか?」
あまりに若い女が隣の部屋から出てこないので、声をかけてみるが返事がない。もしや若い女が警察にでも通報しているのではないかと、やましさもあり不安がよぎる。
男は立ち上がると襖を開けた。
隣の部屋は明かりが消されている。ベットとクローゼットだけがある。
若い女はベットでうつ伏せに寝そべっていた。下着姿なのがリビングの明かりで見えた。
若い女の細い首筋やうなじ、華奢な肩や背中から腰のあたりのくびれ、すっとしなやかにのびた脚線を見て男は目を奪われた。
長い黒髪で顔は見えないが、若い女は男が寝室に入ってくるのを待っていたのだろう。
男はベットのそばにしゃがむとうなじから背中へ確かめるように指をすべらせた。
「はぁっ、ぁっ、あぁっ……ひぅっ」
男は若い女のうなじから足首まで、始めて演奏する楽器を奏でるように撫でまわした。
髪を指でどけて頬に手を触れると、息を乱した若い女の手がそっと重ねられた。


痴漢の男は、名前もすぐには言わなかった。
そのまま若い女と同棲を始めた。
だが、セックスはしなかった。
ただし、形を変えた性行為を行っていたようなものだ。こちらが欲情して高揚感を得たと思った瞬間に、女の無関心や嫌悪を感じていた。しかし、夏祭りで出会った若い女は違った。
男が柔肌に触れて次第に息が荒くなっていくと、若い女の吐息も乱れて激しくなっていく。
撫でまわしたり、なめらかな尻肉をつかみ指先がぐっと食い込むたびに二人の鼓動がさらに高鳴り、ぴたりと合う瞬間がある。言葉を交わさなくてもいい。
若い女は男に触れられ、撫でられ、つかまれて体がそこにあるという気がする。輪郭がはっきりしていく。
「あぅっ!」
うつ伏せのまま男が尻のふくらみにかじりついた時、興奮や見つめられている羞恥、いろいろなことで頭がぼんやりとして、息苦しささえ感じているとき、体と心の芯を揺さぶる痛みは甘美そのものだった。
求められたい心と求めたい心が蕩けるように合わさった悦びと感動の証のような痛みだった。
うつ伏せのまま男が尻のふくらみにかじりついた時、興奮や見つめられている羞恥、いろいろなことで頭がぼんやりとして、息苦しささえ感じているとき、体と心の芯を揺さぶる痛みは甘美そのものだった。
求められたい心と求めたい心が蕩けるように合わさった悦びと感動の証のような痛みだった。
男が噛みついた歯形はその証拠と余韻のようなものに若い女には思え、翌朝シャワーを浴びながら、そっと指で触れてみると、鼓動が高鳴り、胸がぎゅっとせつなさにしめつけられた。
夏祭りの雑踏で尻を撫でられた時に、心を舐められた。寝室でかじりつかれた時に、心を男に喰われてしまったのだと若い女は思えた。
痴漢の男は若い女が仕事から帰ると、抱きしめるようにはいていた下着を受け取り、頬ずりしたあと、そっと匂いを嗅いだ。
男が部屋にいる間に喫った煙草の匂いがして、それがすぐ近くに男がいるような気がする。若い女は男が下着の匂いを嗅ぐのは、心のすぐ近くに感じたいからなのだとわかった。
仕事から帰ったら尻の歯形を残しただけで男がもういなくなっているかもしれないと、小走りで帰宅したので、下着には汗ばんだ匂いもついている。そんな若い女の愛着まで下着の匂いから男が気づいてしまいはしないかと若い女は頬を染めている。
それでも、男のしていることから目が離せない。男から丈の長いスカートをめくってほしいと言われて、若い女が男がかじりついた尻を見せた。
男は尻に触れずに下着を床にひろげて置くと、その下着をゆっくりと、指先での傷痕があるあたりはこのへんだと指さす。
めくったスカートを下ろして、下着を若い女が見つめると男は再び手に取ると、指さしたあたりの布地の匂いを嗅いだ。
男に尻のふくらみに鼻先を近づけられて匂いを嗅がれているのを若い女は思い浮かべてしまい、立ちくらみがするぐらい恥ずかしくなる。
他の女なら下着の匂いを嗅いでも、男を冷めた表情で見つめたり、肌にふれられるぐらいなら下着ぐらいと考えるだろうと男は思い浮かべる。
尻のふくらみにかじりついても、あの一瞬の悦びはもうない。
それを若い女もわかっている。
だから忘れないように、あの一瞬を何度も記憶を呼び起こし刻んでおきたいのだと思う。

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