無人島のビッチ達 34
そして一時間もすれば持ってきた籠全てが満杯になった。これだけあれば色々できそうだ。
拠点に持ち帰った俺達は次に鉱石を粉々に砕いていく。が、これが中々の重労働だ。俺や美咲は体力があるが他の子達は二十個辺りでギブアップしている。結局全部粉砕するのに丸二日かかってしまった。
「お……終わったー」
「み……水〜……」
目の前には大量の粉砕された鉱石の粉の山。俺も含め皆汗だくで疲労困憊だ。
「うぇ〜汗でベトベト、お風呂入りたい」
「そうですわね、贅沢はいいませんが温かい湯に浸かりたいですわ」
「ねぇねぇ恭也、ドラム缶探してドラム缶風呂作れない?」
「あっ、それいいかも!」
「あー、残念だがドラム缶は無かったな」
でも確かに今までは濡らしたタオルで身体を拭いていただけだしな。今回も彼女らは頑張ったし俺がもうひとふんばりするか。
「皆はここで休んでいてくれ。ちょっといいものを作ってくる」
そう言って小屋から出ようとすると要が近づいてきた。
「あっ、恭也さん……私もお手伝いしますわ。私休んでばっかだったので……」
「あっ…いや……」
別にと言おうとしたが要の真剣な眼差しを見てやめた。
「わかった。じゃあ付いてきてくれ」
「わかりましたわ」
俺と要は沢のカーブの内側にやってきた。ここは流れが穏やかで水深も浅い。あれにはもってこいなのだ。
「恭也さん、ここで何をするのですか?」
「ああ……ここにサウナを作ろうと思ってな」
「サウナですか!?」
「そう、あのサウナだ」
風呂は無理だがサウナなら密閉空間と熱源があれば可能だ。
熱源は手頃な石を数時間焼く。焼いている間にサウナ部屋を作るとしよう。
骨組みは近くの森から長い木の棒を数本拾い組み建てる。
「これはA字フレームっていうものでA字型のフレームを骨組みとして様々な物を作る方法だ。テーブルや梯子、簡易的なテントもできるぞ」
「なるほど、凄く勉強になりますわ」
ついでに要に色々と教えておく。知識の吸収率ならば六人の中ではダントツだろう。
こうしてできたフレームに垂木を添えて結んでいく。
「これで後は密閉すれば完成だ」
「何で覆い被すのですか?バナナの葉?」
「いや、それは近くにないから今回はあれを使おうと思っている。」
俺が指差した先にある木々。その名はカユプテだ。主に東南アジアからオーストラリア北部に生息する樹木である。
「その木で何をするのですか?」
「まぁ見てなって」
俺はカユプテの表面に持ってきた石器ナイフで縦に切れ目を入れていく。その切れ目に手を入れて引っ張る。するとバリバリと簡単に樹皮が剥がれていくのだ。
「まぁ、凄い!」
「な、普通樹皮は剥がしにくいけど、カユプテはテープみたいに剥がしやすいんだ。これなら要でもできるだろ」
それにうまく剥がせば、表面積は葉よりも大きいので少ない枚数ですむのだ。
俺は要と協力してカユプテの樹皮を剥がしまくった。ちなみに他の木だと樹皮を剥がすとダメージになるが、この木に限っては木を傷めることはない。
それから三十分かけて俺達は必要な枚数を集めた。
早速俺は樹皮を骨組みに立て掛けたのだが……
「むっ、ちょっとぐらつくな」
足場が悪いせいなのか垂木だけでは不安定だった。
「仕方ない。俺は横木に使えそうな枝を探してくるから要はあそこの蔓を長めに切ってくれないか」
「わかりましたわ」
要に石ナイフを渡すと俺は森の中に入っていった。要もこの数ヶ月でたくましくなったな。
「ええっと……ここがこうなってまして…ここを切れば……それでこっちをほどいて……あら?……ちがいましたか……じゃあこっちを………」
「おっ!これなんかいいな」
ある程度の材木が手に入ったので一旦戻るとしよう。そろそろ要も準備が出来ているだろうし………
「………サーン」
「…ん?今なんか聞こえたような……」
「……キョウヤサーン、タスケテクダサイー!」
「あの声、要か!」
もしかして凶暴な獣でも現れたのか!?迂闊だった!俺は抱えてた木材を放り出すと手頃な木の枝を掴んで駆け出した。