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ハーレムなんかクソくらえ
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレムなんかクソくらえ 10

当たって出た玉をかなり突っ込んで、玉やメダルが尽きる前に当たると思っていた客の表情がこわばって、盤面やリールを見つめている。
その客が席を立ったときに、俺がふらりと座って少額投資でたまたま当たる。
使った金額より当たって出た玉やメダルが多ければ勝ち。そのルールに従ってすぐに景品に交換する。
恭子が釘をみて、あきれるほど回転数がない台でも当たるときは当たるものだ。
投資金額が少なくして、当たらないときは当たらないと傍観しているうちに、店の客が好む台、好まない台、打つ人がよくかわる台などがわかる。
客が好むか好まないか、打つ人がかわるかどうかも当たるか、当たらないかには関係ない。
午後に店の客の半分以上が落ち込んだ表情をしていれば、そこでは打たないでおく。
夕方になり昼間に打っていた客たちが帰って行ったあと、続きを打たせてもらうつもりで少しだけ打ってみる。一回ごとに抽選しているので、本当は続きではないのだが。
それだけでも、以前より勝率は上がった。
逆に客が数人というさびれきった店では、俺はどの台を打っていいか、まったくわからなくなる。
恭子はそんな店でも釘をみて、打ってみて当てていることがよくある。
「台のハンドルがぐらぐらとか、ボタンが接触不良とか、トイレが汚いとかは、打つか打たないかの前に嫌だから別のお店がいいかも」
そこは恭子の意見に同感だ。
恭子はいくつもパチンコ店をまわるけれど、一日で移動して行ける店の数と打てる台数と時間、そして投資金額を前日の夜か朝には決めていて、それを守っているようだ。
それがどうやって決められているのかは、俺にはよくわからない。
わからないけれど、恭子が風邪をひいて熱がある日でも打ちに行こうとしたので、さすがに行くなと止めて、パチンコ店ではなく、病院について行った。
打つ客が健康だろうが病気だろうが、当たる当たらないには関係ない。
恭子はきっとパチンコ・スロットだけでなく、風俗嬢をしていたときも、自分が疲れきっていても客が来るなら出勤するという感じだったのだろう。
二人で同棲するにはワンルームのアパートの部屋は狭い。恭子は「自分の家賃や生活費は自分で打って稼ぐ」という考えだったので、壁をへだてた同棲生活という感じだった。
ヘルスで働く風俗嬢の以前は「なぎさ」で今は「ルミ」はしばらく顔を会わせることはなかったが、半年ほどして、またパチンコ店で会った。
閉店前で、これから帰っても途中で電車がなくなるから、ラブホテルかマンガ喫茶かとパチンコ店の休憩スペースで俺と恭子が相談しているときに声をかけられた。
「二人ともこんなところまで打ちに来たの?」
「なぎさも打ちに来てたのね」
恭子は風俗嬢をしていたころは源氏名が「ミハル」だったので「ルミ」は恭子のことを「ミハル」と呼ぶ。
おたがい本名は知らない関係だが、戦友という感じの親近感は今でもあるらしい。
郊外型のパチンコ店の新規オープン初日。
混みあっていて台移動もむずかしく、それでも、たまたまほどほどに当たる台だったので損はしないで済んだが、なんとなく疲れた。

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