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ハーレムなんかクソくらえ
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレムなんかクソくらえ 32

「過去の事例に合わせて示談金の相場をAIシステムなら参照したデータをふくめて呈示できるから、加害者と被害者のどちらも納得しやすいかも」
「仲介者を弁護士にした場合は、雇い主に肩入れするかもしれない。しかし労働省の仲介サービスは申し入れてから一ヶ月以上は待たされる。でも、民間のサービス業に頼めば社内事情が外部に漏洩する」
「加害者として、民法上で会社は管理責任があるから、被害者が示談を求めてくることはよくあることよ。被害者が加害者に対して警察に被害届を出していてもね」
「会社の作成したAIシステムは会社側が有利になるように作ってほしいなんてこともあるのかな?」
「ありえない話じゃないし、システム購入後に企業にAIに詳しいプログラマーがいれば、改竄されてしまうことも考えられるわ」
「それはまずいな」
「問題はね、被害者が示談を求めてきたあと、退社してしまうことがほとんどなの。加害者のほうは示談で警察の被害届を取り下げてもらって、会社に居すわる人が懲戒解雇にしない限り多い。そうなると気まずい被害者は退社してしまうの。私の会社で育成した人材が他の企業に流出するほうが痛手よ」
「そこは弁護士やAIでもどうにもできないかもしれない問題だ」
最先端のAIシステムを海外の企業と提携して日本に普及させている会社としては、人材流出で、他の企業に偽物のAIシステムを開発されて市場を荒らされるほうがダメージがある。
「加害者を被害者のいる部署から島流しみたいに転勤させると、不当な転勤をさせられたと苦情を訴えて辞めていくこともある。こうなると、トラブルのたびに人材が減ってしまうの」
「なら、どうしたらいい?」
「そこを弁護士の先生に聞いてみたいわ」
パワハラ、セクハラのトラブルに強い弁護士として評判がよい鷹司美咲弁護士を女社長の山崎さんは顧問として呼んでみたが、俺が思うに、どうもトラブルの事後処理の専門家だが、示談や裁判のあとの問題を解決できるわけではないようだ。
被害者のメンタルを多少は時間がかかるが、本人の気づきによって強化する方向性の綾公路莉緒のほうが、示談や裁判などのあとに被害者がどんな行動をするかに影響力がありそうだ。
それを女社長の山崎さんに話すと「対策を考えてみるわ」と言って電話が切れた。
俺は鷹司美咲弁護士の弁護士事務所に相談の面談を申しこんでみた。
「弁護士は和解するか裁判をするかは、依頼者の意思を尊重します。その後のことは依頼は完了していますから、関与しません」
鷹司美咲は淡々とした口調で俺に言った。
ソファーに腰を下ろしていても背筋をのばして、黒のパンツスーツ姿に、艶のある黒い長髪をうしろで束ねたポニーテールにしている。
隙がなく、生真面目な感じがする。
アフターケアという考えはないようだ。
「犯罪として加害者に対し警察へ被害届けを出すことも事例によっては依頼者に提案します」
三十分ほどの面談のあと、俺は鷹司美咲の弁護士事務所から出た。
「どうでしたか?」
北河遥が俺にかけよってきた。会社から弁護士事務所の前まで道案内しながらついてきたのだ。
「白黒はつけるけど、当事者たちのわだかまりまでは、関与しないそうだ」
「依頼者に同情したり、親身になって対応するって感じの人じゃない感じがします」
「法律っていう定規をあてて、罪の測定する技師って感じかな、あれは」
そんな話をしながら、北河遥と映画館へむかった。

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