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ハーレムなんかクソくらえ
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレムなんかクソくらえ 31

キスされた瞬間に、綾公路莉緒は俺から身も心も求められていると思ったらしい。それと同時に強烈な絶頂感の恍惚を感じた、と。
脳はよろこびや悲しみなどの強い刺激をなかなか忘れない。
自我が崩壊しない限りは。
「私、あなたに教えてもらった気がします。今まで誰かに必要にされたいと思ってきたけど、それが誰かわからなくなっていたんだと思うんです。でも、今はあなただけに必要とされていたい」
誰かに必要とされることで自尊心が満たされることは自覚しているのに、綾公路莉緒は誰に必要とされたいのかを見失っていた。
子供の頃は親の期待を裏切らないようにと、言葉づかいから身のこなしまで心がけてきて、それが心の癖になってしまった。
それが誰かがはっきりとわかってしまうと、俺以外の他人にはもう必要とされなくてもいい気がしてくるらしい。
「俺だけじゃなくて、綾公路莉緒を必要としている人たちはかなりいるはずだ。でも、心も体もひとつだから、全員というわけにはいかない。それは俺だって同じことなんだろうけど」
「今はあなたをひとりじめにしていいですか?」
俺がうなずくと、莉緒の唇が俺の唇を奪った。
精神科医の綾公路莉緒が翌週の会議ではパワハラ、セクハラの被害者のみを、精神科医チームでは治療を行うことを提案した。
加害者にも治療は必要であるという見解は認めた上で、加害者が他人を傷つける自分の言動の原因と向き合いたいと覚悟していなければ、一時的な抑制はできたとしても、再発する可能性が高い、と。
「パワハラ、セクハラを受ける原因が被害者にあるために、被害者のみを精神科医チームで対応するということではないことを、よく理解していただきたいと思います」
弁護士チームとしては加害者が精神科医から加療が必要と診断されたとき、責任能力がないと主張された場合には、加害者と被害者の示談交渉がむずかしくなるため、被害者のみの治療に賛成するという意見に賛同した。
「会議は無事に意見がまとまったみたいね」
「まあ、いちおうね」
「なにか気になることがあるの?」
会議終了後、すぐに北河遥に会議の報告を社長に社内メールで報告するように伝えておいた。
北河遥は会議内容をすばやくまとめて文面を、社長室のパソコンに送信した。
社長室のパソコンと女社長の山崎さんの自宅のパソコンはデータを通信ネットワークによって共有していて、山崎さんは自宅でも社長室にいるのと同じように自宅のパソコンで仕事ができる。
俺は屋上の喫煙所で山崎さんと通話していた。
弁護士の鷹司美咲から北河遥へ提案書が会議終了後に手渡された。
その内容はセクハラ、パワハラの加害者と被害者の調停と示談の仲介に社内の社員を使うことは、公平性に問題があると思われるので、社外の機関による仲介が望ましいという提案だった。
パワハラ、セクハラの加害者と被害者のどちらにも同等の権利があるが、仲介者の裁量ひとつでどちらかを有利にすることもできる。
社員が仲介者となったときに、どちらかの者と事前に談合して肩入れしないとも限らない。
「一理あるわね」
「そこをAIシステムで補うことを北河遥は考えているんだけどね。そこには鷹司先生は反対らしい。示談金を被害者は高めに請求したり、被害者がごねて示談金をやたらと下げたり。それで和解が成立しなければ、弁護士としては加害者と被害者が法廷で争ってくれたほうが仕事になる」

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