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ハーレムなんかクソくらえ
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレムなんかクソくらえ 30

見た目も実際は三十歳だが、高校の制服でも着れば女子高生に思われてもおかしくない。
まさか、綾公路莉緒が三十歳まで処女とはまったく想定外だった。
医大へ進学して、六年間の医学部の勉強や研修に耐え、その後ようやく医師国家試験が受けられる。
綾公路莉緒は、精神科専門医と精神保健指定医の資格を取得して開業している。
精神科専門医の資格は医大で六年間さぼらずにしっかり勉強していれば九割の合格率がある。
精神科医は、措置入院などで患者のために患者本人の意思に反して強制的に入院させることが必要な場合もある。そうした行為をするには、精神科専門医の医師免許の身では不十分で、精神保健指定医という資格も取る必要がある。
精神保健指定医になるには、初期研修二年に加えて精神科三年の研修を経て、措置入院や精神科各疾患の症例報告を提出する必要がある。
精神科保健指定医の資格は合格率が低く、毎年五割から六割にとどまる。
十八歳で名門女子高を卒業した綾公路莉緒が、クリニックを開業して実績を認められるまでになるまでには、わき目をふらずにがむしゃらに、誰とも恋とセックスをすることなく、仕事に身も心も捧げてきたのだ。
「こんなことがあるなんて、まだ信じられないけど、認めるしかないですね」
初体験で、連続エクスタシーに蕩けきってしまい、まだ起き上がることのできない綾公路莉緒が、ベットの上で恥ずかしそうに微笑む。
「仕事が生きがいっていう人たちの気持ちは、俺にはわからないけど、綾公路先生ならよくわかるだろうな」
「ええ。でも仕事に職場のパワハラやセクハラで支障が出て、生きがいを見失った人たちが立ち直るには、なんで仕事に自分が依存していたのか、考える時間やきっかけが必要だと思います」
他人に自尊心がひどく傷つけられることがある。
ただ、自分の自尊心が傷ついてしまったことを認めたくない。
相手のことを自分よりも上だと感じたことで自尊心が傷つくが、それを認めたくない。
自分は他人よりも上でも下でもないという自尊心が他人と比較される状況の中では生まれやすい。
ずっと、自尊心が傷ついていることに耐えがたいので、自分の自尊心が傷つかないでいられることは何かと考える。
自尊心を傷つけた相手を意識する。
それが相手に対するどんな感情につながるのかは、身体的な快、不快の感覚に左右されやすい。
それらを心の中に閉じ込めることで、平常心を維持することができる。
許すこと、我慢すること、忘れようとすること、なども、心の中に閉じ込めようとすることで、平常心を維持しようとするため。
「でも、心の中に閉じ込めても、脳は忘れてはいないので、きっかけがあれば思い出してしまいます」
自分の自尊心を傷つける可能性のあるものは悪いものと正義感のような感情に変換して、時に攻撃性としてあらわれることがある。
「それは傷つけられないように、こわがってるってことかな?」
「そうかもしれません。パワハラ、セクハラで相談してくる人たちは、攻撃性が目立つことがありますから」
全裸でセックスの直後でも、仕事の話をしている綾公路莉緒の頬を俺は撫でた。
「綾公路莉緒も、仕事のことを忘れられない人?」
「あっ、ごめんなさい」
「あやまらなくていいよ。でも、セックスのときは忘れてくれたらいいなって思う」
綾公路莉緒の隣に、俺は添い寝をするみたいに寝そべっている。
「あの、キスされたり、体をさわられて、どんどん私だけ一人でおかしくなっちゃうんじゃないかってとても恥ずかしくて。でも、あなたが震えながら射精したとき、私だけじゃなくて一緒に気持ちよくなってくれた気がして、うれしかった」
「うん」
俺に抱きついて綾公路莉緒が照れながら話す。
「こんなにセックスが気持ちいいなんて知りませんでした」
平常心はセックスしているとき、大きく乱される。
それは興奮していたり、快感に翻弄されたりするからだ。自制できない不安と恍惚が同時にある。
そのとき、セックスする相手とは密接していて、関係性からいえば他人がこれ以上近づいている状況は他にない。
セックスするとき他人が個人に対して関係を求めたがり、興奮や快感を共感している瞬間に、もっとも必要とされ、自分が今、この瞬間にただ生きていること、ありのままで存在していてもいいとすべてを肯定されていると思える。
誰かに必要とされているときに自尊心が満たされるタイプの綾公路莉緒は、ありのままでは誰も自分のことを必要としてもらえないという不安を常に抱えて、ひたむきに努力を続けてきたのかもしれない。

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