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ハーレムなんかクソくらえ
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレムなんかクソくらえ 18

「よし!」
気合いを入れて温泉から上がると、俺は受付で会計を済ませた。
初老の受付係が親切に「もう一泊なされて翌朝に出たほうがいいと思いますが」とすすめてくる。
女将の後藤さんがあらわれる前に立ち去りたい。
会えばまたやりたくなるかもしれない。
旅館から出たときに、駐車場に高級車が停まっているのが見えた。
「ちょっと待って!」
自分が声をかけられていると思わず歩き続けた。
すると、息を切らせてかけてきた人に、腕をつかまれた。
山崎さんだった。
「よかったら一緒に乗って行きませんか?」
運転手の中年男性が黙って、ミラー越しに後部座席の様子をちらちらと見ている。
行くあてはないので、先に山崎さんにどこまで帰るか聞いてみると都内までという。
本社ビルに戻るところだったのだ。
タクシーだったらかなりの金額になる距離だ。
さすがに都内までとは言い出しにくいから、どこで車を降ろしてもらうか考えているうちに、車は高速道路へ。
途中で休憩でドライブインに停車した。
高速道路の途中のドライブインで降りても、かなり困る。
「なあ、あんたをどこで降ろせばいい?」
喫煙所で煙草をくわえた運転手から、ついに質問された。
適当に、とは言える雰囲気ではない。
都内のどのインターで降りるか、腹をくくって運転手に聞いた。そのインターのそばで、と煙草の火を消して言ってみた。
「わかった」
運転手は内心では、ずうずうしい奴だと思ったかもしれない。
「ちょうどよかったじゃない」
「でも、なんか……」
「ごちそうになったお礼だから、気にしないで」
まさか一本の缶コーヒーの話だとは、話を黙って聞いている運転手は思わないだろうな。
「名刺渡しておくわね」
こちらは名刺はない。
看護婦の美恵子から着信がばんばん入ってくる携帯電話は電源を切ってある状態だ。
「気がむいたら連絡して」
俺はうなずいて名刺を受け取った。
それからは会話もなく、山崎さんはすうすうと眠ってしまった。
夜のビジネス街、行くあてなし。
俺は駅前のマンガ喫茶に泊まることにした。
山崎さんの名刺は代表取締役、つまり社長になっていたので、マンガ喫茶のパソコンからネットで会社を調べてみた。
「AI開発の最先端企業」ネット上ではかなり注目されている大企業だとわかった。
「今の俺には関係ないな」
マットブースに寝そべり目を閉じた。
翌日から、一ヶ月ほどパチンコ店を直感だよりに渡り歩いた。一円パチンコを打っていた。四円パチンコよりも客づきが良かったからだ。
勝てばビジネスホテルでシャワーとベット、負ければマンガ喫茶でイスの背もたれを倒して眠る。

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