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ハーレムなんかクソくらえ
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレムなんかクソくらえ 13

目がさめたとき、北河遥がなぜか俺の胸のあたりを枕にして、ひっついて眠っていた。
俺が寝てる間に何があったのか。
北河遥を起こさないようにそっと起きてトイレに行こうとしたが、立ち上がったところで、北河遥が起き出して目をこすりながら、こちらをぼーっとした表情で見た。
「おはようございます」
「まだ朝じゃない、寝てなよ。時間になったら起こすから」
「はーい」
やたらと素直な返事をして、こてんと身を横たえて北河遥が目を閉じた。
なにかがおかしい。
二人でマンガ喫茶を出て、朝から開店しているカフェで、朝カフェセットのサンドイッチをほおばる。
「あの、俺の寝てる間に……いや、なんでもない」
「なんですか?」
そう言ってから、北河遥はにっこりと笑った。
「私がキスしたとき、起きてたんですね」
俺は飲みかけの珈琲を吹き出しそうになるぐらいびっくりした。
「キスした?」
北河遥がこくんとうなずいて顔を赤らめた。
俺の汗を舐めた風俗嬢の明美が俺に惚れた。
北河遥は何を思ったのか俺にキスをした結果、唾液でも舐めてしまったらしい。
油断していた。こうなったらしかたがない。
すでに俺にできることはない。
こうなったら、北河遥が俺にさらにはまらないように、遥とはセックスはしないぞと思いつつ、朝食を食べ終えた。
「じゃあ、俺はこっちだから」
「はい、また月曜日に」
改札をくぐってふりむくと、北河遥が立って俺を見つめていて、ひらひらと手をふった。
あれか、惚れるとでれでれになるタイプか。
「というわけで、優秀な女性社員に手を出されてしまいましたっ!」
女社長の山崎さんに部屋に帰って電話をかけた。
「あら、もてるのね」
声はやわらかいが、言葉に見えないトゲがある感じがした。
「そんなことになるんじゃないかと思ってたけど、ライバルが増えたわね」
山崎さんは「浮気者」と罵ったりもせず「もう別れる」とも言い出さない。
ふぅ、とため息をついただけだ。
どんなに惚れている相手がいても、俺の虜になると女性たちは気持ちを自分なりに整理して、俺を最優先にしてしまう。
女社長の山崎さんも聞いたことはないが、それなりに裕福な男たちの中から将来的には結婚を前提とした恋人をぬけめなく堅実に選ぶタイプだろう。
英語講師のエミリーさんも、理想のタイプは自分の故郷で暮らしてくれる日本人だった。
北河遥はレズビアンで、山崎さんが好きすぎるほどだった。
パチプロの恭子も、風俗嬢の頃に出会ったパチプロの男性に惚れ、自分もパチプロになると決意した。
風俗嬢の明美は客が惚れるのは勝手だが、自分は絶対に客に惚れたりしないと思っていたらしい。
それがキスひとつで変わる。
セックスすれば完全にはまる。
「お前のことが嫌いだ」とわざと突き放しても、悲しむだけで、あきらめたりはしない。
明美が恭子には惚れている旅打ちをしているパチプロがいることを俺に教えて、いつか捨てられると言ったときも、三人で旅行に行き、恭子が寝てる間に俺に夜這いをかけてきたときも、俺は明美に「お前のそういうところが嫌いだ」と言って突き放した。
それでも、明美はあきらめなかった。
その旅行中に「師匠」と恭子が呼ぶパチプロと再会したが、閉店後、三人で食事をしていて恭子は以前のように「師匠」と一夜をともにしないかと誘われた。これを、あっさりと断った。
「あたし、この人が好きなんです」
とはっきりと俺の前で言い切った。
「悪かった、君も私もかわっていく、認めたくないものだな、自分自身の、若さゆえのあやまちというものを」
旅打ちの本物のパチプロの「師匠」も恭子に惚れていた。だが、連れて歩くにはまだまだ恭子は未熟だったのと、自分が旅ではなく安住の生活を選びそうでこわかったのだと、正直に俺に語ってくれた。
「私が惚れた女だ。よろしく頼む」
「はい!」
「いい返事だ。パチプロには不向きかもしれん」
俺は、これほどかっこいいふられかたした男を他に見たことはない。
「かっこいい人だったな」
「あのねぇ、そこは、俺の女ですって、師匠相手でも、びしっと言うところじゃない?」
そんな話をしながら歩いていると、一人でやけ酒を飲みに行って酔った明美が、俺の背後から抱きついてきたりした。

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