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ハーレム国家-建設編-
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレム国家-建設編- 85

「あの娘らの気持ちは…解らんでもないがな…」
ラングにしては珍しく沈んだトーンに、流石のシュザクもラングを凝視するが…ラングの変化は一瞬で、シュザクが変化を読み取る前に何時もの彼に戻っていた。
「まあ、興醒めだし…今日はそれなりでお開きだな…シュザク、後は任せた…」
それだけを言うと、ラングはおどけた様子でクルリとシュザクに背を向け、付いてこようとする奴隷メイド達に『シュザクの手伝いをしてやってくれ』と一言言うと、彼にしては珍しく一人で寝室に向かった。

どことなく様子の違うラングに、シュザクもかける言葉がみつからず、そのまま背中を見送っていた。


廊下を歩くラングが、ふと立ち止まる。
それと同時に、彼の視線もよく見知った人物を見つけて止まった。
「あら?、宴は終わりですか…ラング様…」
仕事で通りがかったマニシュが、ラングに何時もの母のような優しい笑みでラングに話しかける。
だが、ラングは普段と違い…無言でマニシュを見つめているだけだった。
「…ラング様?」

怪訝に思ったマニシュの手を、ラングがいきなり掴み引き寄せる。
そして、背中越しにマニシュを抱きすくめた。
「きゃっ!、ラング様ったら!…おふざけはベッドの中だけですよ…」
少し驚くマニシュだが…マニシュを抱いたままラングは動かない。
ここに来て、マニシュはラングの変化に気付いた。
抱きしめるラングの手に、掌を重ねて静かに言う。
「ラング…心配しないで…私は貴方の為だけのマニシュなんだから…」
それは、幼子をあやすような口調だった。

先程の暗殺未遂は、マニシュも顛末まで見ていた。
大事なものを失った悲しみの叫び…
帝国以上に準大陸人は、そんな叫びを多くしてきた。
それはラングも例外ではない…
身内を殺されたと言うだけではない。
彼の大事な物も帝国は踏みにじっている。
マニシュやナリィ、エスカリィーナ、エレノアと言う彼にとって大事な母のような女性達は、逃亡の過程でラングや娘達を救う為に、あえて何度も凌辱を受けなければならなかったし、食料を得る為に身体を開いた事もあった。

そんな大切な物を守れなかった無力感が、ラングを希代の戦士へと成長させる原動力になった要因の一つであったし、未だにラングにとっては大きな心の傷であった。

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