ハーレム国家-建設編- 6
「これからオレがどれだけ思ってたか、心行くまで味わってもらうからな?」
「はあぁ・・・ダメぇ・・・!許し・・・てぇ」
しかし彼女の願いはかなうことなく、シュザクはラングにかわいがられ続けた。
次の日、一晩中抱かれたシュザクは快感で腰を抜かし、仕事を丸1日キャンセルすることになったのは余談である。
翌日、ラングは椅子に縛られて書類整理をさせられていた。
机の上には並々と天井に辿りつけとばかりに積まれた書類たち。本来なら軍団長達が処理する書類すらも積まれていて、ラングは血の気が引いて青褪める。
「あ、あの……これって一体?」
「お前が今日中に処理する……いや処理しなくてはならない書類だ」
「ええええ!?きょ、今日中!? む、無理だって。絶対に無理!物理的に肉体的に現実に無理!!」
「無理じゃない。少なくとも一日とは二十四時間あるしな。大丈夫だろ」
「寝るな!飯を食うなと!?」
「ああ」
ラングの絶叫にシュザクは無情に頷く。ガクンと頭を落とすラングは書類の一つ、歩兵騎士団の再編成の書類を見て疑問を漏らした。
「これってパームが処理する書類じゃない?」
「そのパームを孕ませたのは誰だ?」
「いやいや、妊娠したって書類整理は出来るだろ!?」
「書類整理はな。しかし、どうせ今から妊娠すれば戦場に立てるのは一年後だ。それでは意味が無い。パームを解任して新たな歩兵団長を認定する。それまで歩兵部隊はラングが錬度するんだ。お前の責任だ。お前が面倒を見ろ」
冷たいシュザクの視線に今度こそラングを俯き、書類の処理を始める。その様子を見てシュザクは溜息をつき、袋に入った種を一個パクリと飲み込む。娼婦たちが避妊の為に使うラクの実である。
「この様子ではとてもじゃないが妾は子育てなど出来んな」
「? どうした?」
「いや、なんでもない。お前は統治者として阿呆すぎる。戦時の英雄が戦後の優秀な統治者になれるとは限らないというのを地で言ってる阿呆なお前には当分妾が必要だと思っただけだ」
安堵のような愚痴のようなシュザクの台詞に、ラングは首を傾げつつ真剣な顔で呟く。
「当分? 全然違うよ」
「ん?」
「一生。ううん。生まれ変わっても側にいて欲しい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・台詞が青臭すぎる」
シュラクは頬を赤く染めつつラングに向って扇を投げる。回転する扇は円月輪のように鋭い切り口を見せてラングが辛うじて交わした背後の壁に突き立った。
「照れ隠しで殺そうとしないでくれ」
「青臭い台詞を言うぐらいなら仕事をしろ」