ハーレム国家-建設編- 4
国の体制をいきなりボロボロにされた怒りやら、抜け駆けされた嫉妬やらで目の前が真っ赤に染まっていくのをシュザクは感じた。
だというのに目の前の男はさらなる爆弾発言を投下してくる。
「議事会のみんなとは、昨夜子作りしたし・・・。
あ、それにこの間慰問に訪れた村でも、『ぜひラング様の子供を産ませてください』とか言ってきた娘たちを10人・・・いや20人くらいかな?
しっかり種付けしたさせてもらったし・・・」
ブチッ!
行政官だけでなく、村娘たちにまで手を出したと聞いた瞬間、シュザクの中で何かが切れた。
「・・・もう、いい・・・!」
「へ?」
「オマエがどれだけこの国を思ってくれているか、よくわかった・・・!!
そんなにこの国のために子供が必要だと言うなら、オマエの言うとおりにしてやろうじゃないか・・・!!」
シュザクからとてつもなくドス黒くて怖いオーラが漂っているのだが、ラングは自分の意見を認めてくれたことがうれしくて、まだ彼女の変化に気づかない。
「そうか!わかってくれたのか、シュザク!
ありがとう!これでオレはみんなとこの国で幸せな家庭を築き、この国の未来を守ることができる・・・!」
「そうか、そうか。じゃあ、もののついでだ。
これから妾とも子作りしようじゃないか」
「え?今から?」
あんなに反対していたシュザクが、こうも物分かりがよくなったことに、さすがのラングも少々驚く。
はたから見れば、『少々』驚くくらい済んでいるのが信じられない話なのだが。
シュザクは黒いオーラを漂わせたまま、優しい笑顔を向けて言葉を続ける。
「何だ?他の連中にはあれほど種つけておいて、妾にはしてくれんと言うのか?」
「い、いや!そんなことはない・・・けど」
ここに至って、ラングはようやく彼女の様子がおかしいことに気づく。
でもまぁ、それでもいいかとすぐに思い直した。
彼もシュザクを愛している以上、その子供を作りたいと思っていたのだし。
「なら何の問題もないではないか。
たっぷり精を吐き出して、妾に強いやや子を産ませてくれよ?」
シュザクは笑顔でそう言うと、手ごろな部屋を見繕ってラングを連れて行く。
「1人や2人で終わりだなんて言わないでくれよ?
せっかく惚れた男と一緒になるんだ、2度と精が出せないくらいに絞りつかせてやるんだから」
「ははっ、そいつは楽しみだ」
扉が閉まっていくその瞬間、優しい笑顔を向けていたシュザクの顔が、地獄の悪鬼羅刹もその場で土下座して謝りそうな、とてつもなく恐ろしい形相に変わった。
パタン・・・。
扉が、閉じた。
一瞬見せたあの顔が幻かどうか、確認する術はもう、ない。