ハーレム国家-建設編- 3
今優先すべきは秩序の回復と戦災復興だ。
今、ラングの後継者を作っては後々騒動の種になる。
シュザクはそう考えていた。
・・・だというのにこの男は、
「確かにそれも大事だよ?でも今この国にいる男は数少ない。
男がいなくなったところを狙われたら、ひとたまりもないじゃないか。
それにオレは、シュザクを娶ってみんなと幸せな家庭を築きたいと思ってるんだ」
などとプロポーズまがいの恥ずかしいセリフを何の臆面もなく言ってくるから始末が悪い。
惚れた手前、強くは言えないがもっとムードとかそういった配慮ができないものかとシュザクはいつも思う。
「と・・・とにかくオマエの提案は却下だ。
しばらくは机に向かって書類整理でもしてろ」
顔を赤くしつつ、シュザクはそう言って立ち去ろうとしたその時。
ラングはとんでもない爆弾発言を言ってのけた。
「そんなこと言ったって、もう遅いって。
みんなとはもう結婚の約束しちゃったし、もう何人かはオレの子供を妊娠しちゃってるぜ?」
ビシッ―――。
その瞬間、シュザクは先を越されたことへのわずかな嫉妬と、それを上回るとんでもない事態の展開に頭をハンマーで殴りつけて割れたところに氷水をぶっかけられたような衝撃を覚えた。
「なんだと?!」
シュザクはラングを睨みつける。
「まさか妊娠させたのは軍団長達じゃないだろうな?」
軍団長とはその名の通りオーディエンス独立国軍を指揮する団長達だ。男性が少ないオーディエンスという島の中では必然的に女性が務めることになり、その地位からラングの側にいることが多い。実際ラングが戦争中に何度も手をつけている。
しかし軍団長は今は死亡者の家族の慰労や軍の再編などに忙しいはずだ。いくらラングでも彼女たちに手をつけるようなことはしてない筈・・・いや頼むからしてないでくれ。
「ええっと…騎兵総監のマリオンと海軍総監のクラウディーヌ、他に何人かは妊娠したって言ってたなぁ…」
彼の言葉に絶句するシュザク。
よりにもよって軍団長を統括する総監のうちの二人を妊娠させるとは…しかも歩兵総監のパームシュフェルトまで妊娠させそうな勢いだけにかなり困った事態である。
軍団長達だけでないだろう、この様子なら…国の行政を担う行政官達もどうなってるか解らない。