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ハーレム国家-建設編-
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレム国家-建設編- 139

粗末な墓石の前でラングは祈るようにしていたが、表情は何かを吹っ切ったように穏やかだった。
そのラングを穏やかな瞳で見つめるアンナだったが、ふと何かに気づく。
「お母さん…この方は?…」
その声にラングも振り向く。
そこにはマユラより幾分年上の少女が立っていた。
普段誰も来ないような所で、明らかに武人のラングがいる事に驚いている様子だった。
そして、その少女は…
明らかに解る大陸との混血児だった。

「リアナ…この方は、昔このお屋敷に住んでいたお坊ちゃんよ」

アンナの説明にキョトンとした表情の少女…
彼女にとって、ここがかつて屋敷であった事は知っていても実感は無い。
丁度良い子供の遊び場感覚だ。
ましてや、ここの主人達の事も、その子息が英雄王である事も、この少女には実感もなかった。
「アンナ、お前の娘なのか?」
「はい、リアナと申します…恐らくこの場所で宿した私の娘です…」
多少影のある笑みでラングの問いに答えたアンナの表情からも、ここで何が行われたかラングも想像はつく。
「アンナ…」

「いえ、いいのです…私は5人の娘を産みましたが、皆よい娘で…このリアナも妹達の面倒を良く見てくれています…」
アンナの言葉には、不幸はあったがその中でささやかでも幸せを見つけたような穏やかさがあった。
そんな母親を見ながら、リアナはラングに向き直る。
「若様っ!、お願いがありますっ!」
ラングが誰かも知らず、リアナは決意を込めて言う。
「何だ?、言ってみろ」
彼女の決意に満ちた表情に、ラングも彼女を真剣に見る。
こう言う時のラングは、相手が子供でも真剣なのである。

「あたしを奴隷でも何でもいいからっ!、若様が買ってくださいっ!!」
「リアナっ!!」
娘の言葉にアンナは驚き、ラングも目を丸くする。
「あたしだって、この年になれば、自分がどんな風に産まれ、妹達がどんな風に産まれたか知っています!…お母さんが帝国の奴らに何をされ、それでも必死にあたし達を育ててくれた事もっ!!…だから、あたしはお母さんや妹達が楽になるなら…楽になるなら…」
最期は涙声で少女が叫ぶ。
取り乱しおろおろする母親は、自分の過去を娘に知られたからではない。

自分が身体を張って守ってきた娘が、今度は身体を張って自分達を守ろうとする姿に動揺していたのだ。
そんな母と娘を見ながらラングは笑顔になる。
「解った、リアナ…リアナが俺のモノになる代わりにアンナ達が穏やかに暮らせたらいいんだろ?」
ラングはそう言うと、驚く母娘に更に驚きの言葉を投げ掛ける。
「よしっ!、この屋敷跡を市民が楽しめる公園にしよう…管理はアンナ達がして、国から管理費を出そう…それなら十分暮らしていけるだろ?」
彼女達が考えていたより途方も無い話に、アンナもリアナもあっけにとられていた。

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