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ハーレム国家-建設編-
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレム国家-建設編- 134

「謝らんで良い。」
あっさり謝罪する弟に皇帝は直ぐに穏やかな顔になる。
「いえ、私が軽率でした失礼します。」
「そっそうか、ルードヴィッヒ元気でいてくれ。」
ルードヴィッヒは皇帝に謝罪すると静かに退出し屋敷に戻った。
「この10数年で帝国は変わったな。まるでアンリの私物ではないか。」
威厳に満ちた身体を震わせて嘆くルードヴィヒであったが、英雄と呼ばれる彼とて人の子…
アルドアラン大戦の折は、アンリの才覚がなければ帝国は本当の危機に瀕していただろうし、彼もアンリの才能を認め、アンリの宰相就任を許した経緯があった。
惜しむらくは、フレデリック公子が生きていない事だろう…
有能な彼が生きていれば、アルドアランを彼に任せ、ルードヴィヒは帝都で睨みを利かせられた。
全てが後の祭りなのだ。
「儂の最期の賭が、奴の口車に乗せられての事とは…口惜しいぞ…」

老将は虚空に向かって、彼の思いの少しだけ吐露した後、表情を変えず屋敷に入ったのだ。


その同じ頃、エルラシア王国…
エルラシア王都、大陸でも屈指の大都市であり、学問の都とも呼ばれていた。
代々のエルラシア王が学問に熱心だったのもあるが…現エルラシア王、フィリップによって更に学問に力が注がれていた。
フィリップ王は現在40歳。
帝国を追い詰めた若き名将も壮年期を迎えていた。
王位就任後、身分にとらわれない人材登用で力をつけ、巧みな外交で反帝国連合を作り上げた。

そして、帝国の心肝を凍らせるような大胆な侵攻…
そして、見事なばかりの撤退戦と、大陸にエルラシアありと印象付けた。
その後も積極的な内政制作で国力を増強し、あの大戦の傷痕は完全に消し去っていた。
現在も帝国と敵対行動を取りながらも、ケシュマル王国を経由して帝国と貿易はしている等、一筋縄ではいかない人物だった。
その彼の目下の関心事は、海の向こう…
それは、ケシュマルより更に向こうである。
「帝国が、再び準大陸の覇権を狙っているそうな…」

ケシュマルよりもたらされた異国のワインを片手にフィリップ王は楽しそうに言う。
「ザルツ大公を総大将に任命したそうですな」
フィリップ王にそう言うのは、彼の腹心の一人であるホランド卿である。
彼は下級貴族から登用された外交官で、その舌先で反帝国連合を成し遂げた功績者であった。
「うむ、存外帝国も本気と言う事か…それとも、かの輝かしき帝国宰相殿の懐が寂しくなったか…」
「蓄財する事にかけては、恐れ多くも陛下ですら敵いませんな」

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