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ハーレム国家-建設編-
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレム国家-建設編- 132

それにより、ガルロア軍は崩れ始め、夕刻にはほぼエルラシア軍が駆逐する結果となった。
エルラシア王は、遺体を運ぶ敗残兵を追わず…その夜、酒杯を彼と勇戦した士卒に捧げたと言う。
帝都やルードヴィヒ大公軍にもこの悲報は届き、皇帝は杖を落としてそのまま倒れ、大公は静かに頷いたのみだったと言う。
この戦いでガルロア軍は7万もの死者を出したが、エルラシア連合軍の損害はそれを上回る11万であった。
そして、この戦いが大戦の趨勢を変えたのである。



エルラシア連合軍がフレデリック公子軍と突破した5日後、ルードヴィヒ大公は帝都に帰還した。
ルードヴィヒ大公の連合軍攻略の間、アンリは忙しく動き回り、連合国のいくつかを寝返らせる事に成功していた。
その噂を流布して、連合国を疑心暗鬼に陥らせて互いに牽制させ、周辺の守備兵を帝都に引き上げさせた。
これにより、ルードヴィヒ大公が帰還した頃には、帝国軍は50万以上に膨れ上がっていた。
その50万が、名将ルードヴィヒ大公の指揮の下、フレデリック公子の敵討ちばかりと炎のように進軍を始めたのである。

その報告を聞いたエルラシア王は迎え撃つどころか、周囲の要塞に最低限の守備兵だけ残して、凄まじい勢いで撤退したのだ。
後に『驚異の遁走劇』と称される逃げっぷりで、余りの見事さにガルロアの諸将は笑い者にしたが、当時ルードヴィヒ大公の小姓であったルキウスは、ルードヴィヒ大公がしきりに感心していたのを見ている。
遁走するエルラシア軍を追撃し、各要塞を攻略していったルードヴィヒ大公だったが、エルラシア本軍は国境を越えて追いつく事ができなかった。

それは戦闘開始から半年後の事で、この戦いの両軍の死者は30万を越えたと言う激戦だったのだ。

この戦いで、ルードヴィヒ大公はアルドアラン地方の復興と防衛に残らねばならず、アンリは功績を認められ出世街道をひた走る事になる。
政敵となるルードヴィヒ大公はアルドアランから動けず、フレデリック公子は戦死した。
また門閥貴族達も戦費徴収で力を失い、帝国ではアンリの一人勝ちとなった。
エルラシア王国も多大なダメージで、再び連合国を組んでの侵攻は無理で、この14年でアンリの立場は強いものとなった。

皇太子に娘を嫁がせ、皇太子死後は、その息子…つまり皇太孫の後見となっている。
老帝は病気がちで、亡きフレデリック公子の息子、オスカー公子もまだ若すぎる。
これで、ルードヴィヒさえいなくなれば、晴れてアンリの天下なのである。
他の皇族、ノルド公(アウローラの父)は優秀な政治家だが、権策謀術には疎くアンリの敵でない。
アルドアラン大戦の後、準大陸からこれでもかと言う程搾取したから、アンリの懐は豊かだ。
ルードヴィヒ大公を準大陸奪還軍の総司令官にしたのは、その仕上げである。

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