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ハーレム国家-建設編-
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレム国家-建設編- 130

そのアンリに部下が報告する。
「只今、ザルツ大公殿下、帝都外周にご到着の事…約二刻程でご登城となるようです」
それを聞いたアンリは、フンと鼻で笑う。
ザルツ大公ルードヴィヒ…アンリの最大の政敵にして、最大の障害と言える相手だった。

ガルロア皇帝の実弟であり、ガルロア大公位だけでなく、帝国大元帥の称号も持つ、帝臣最高位の存在であり、皇帝の最も信頼する臣下であった。
齢60を既に越えるが、頑健かつ壮健な彼は年齢を感じさせない。

40年を越える軍歴は華々しく、功績を上げればきりがない。
帝国の生きる伝説でもあり、彼の全ての軍歴を吟遊詩人が歌い上げるのに、軽く一週間はかかると言われていた。
本来はアンリですら肩を並べる事のできない存在だが、この実直な老将は政治に興味を持たず、常に辺境の最前線に身を投じていた事がアンリの勢力拡大に繋がったとも言えた。
アンリは激しく意識する相手だが、ルードヴィヒは歯牙にもかけてないらしく、それが更にアンリを刺激していた。
そのアンリの勢力拡大のきっかけは皮肉にもルードヴィヒが作ったのであるが…

きっかけは14年前、後世の歴史に『アルドアラン大戦』と呼ばれる戦いである。
これは、隣の軍事大国、エルラシア王国が代替わりを契機に、大軍を帝国領内アルドアラン地方に進めた事から始まる。
エルラシア王は準備周到で、連合国と合わせてその軍勢は40万…
他地域から侵入する連合国と合わせると、60万と言う大軍勢であった。
帝国史上、これだけの軍勢の侵入を許した事が無い、帝国始まって以来の危機であった。
禁軍百万と言われる帝国軍をしても、これだけの軍勢との対決は初めてである。

ガルロア皇帝は、ザルツ大公に勅命を配し、初めて軍権全てを皇弟に託した。
彼は帝国本土で招集できる限界である40万の軍勢を招集し、息子フレデリック公子に20万を預けてエルラシア本軍に当て、残る20万で連合国を各個撃破する作戦を取った。
当時、財務長官であったアンリは、思い切った財政出動と貴族や大商人に対する臨時徴収をして、軍を全面的にバックアップする体制を取った。
こうして、半年に渡る激戦が始まったのである。


フレデリック公子率いる迎撃軍は、アルドアラン地方の大半を放棄して、州都アルドアランまで防衛線を下げて、要塞や堅陣での防衛策を取った。
それでもエルラシア連合軍の勢いは凄く、瞬く間にアルドアラン地方の九割の要塞が陥落する程であった。
フレデリック公子も父に負けず歴戦の名将である…地の利を生かしたゲリラ戦で迎撃し、エルラシア連合軍の動きを遅らせた。
またアンリの的確な補給により、数が少ないながらもフレデリック公子はよく持ちこたえ、エルラシア連合軍は州都に迫るまで三ヶ月を要したのだ。

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