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ハーレム国家-建設編-
官能リレー小説 - ハーレム

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ハーレム国家-建設編- 111

従ってオルフの大公就任に異を唱える者はいなかった…当の本人はともかくである。
軍装のまま書状を読むオルフだが、それはまだ安定しない南部地域の最前線だからと言う訳だけでは無い。
根っからの軍人気質の彼は、普段から軍装を好むし、部下達にも大公と呼ばせず将軍と呼ばせている。
戦場で槍を振るう事以外はすこぶる無欲な所なんかはラングと良く似ていて、オルフとラングが仲が良いのも有名な話だった。
「…いよいよ、戴冠式とは…難儀な事だ」

呟く…と言っても、元来声の大きいオルフでは周囲によく聞こえる声でそう言うが、別にラングの戴冠を望んでいない訳でない。
ただ、自由に振る舞えない立場に同情しているだけだった。
彼にとっては、この大公の立場すら蛮族との戦いがなければ煩わしいだけで、それ以上の立場に就くラングに同情するのは当然と言えば当然である。
「ただ、戴冠式に行くとなれば…俺の不在をどうするかだな」
猛将であるオルフだが、こう言う状況判断力も有している。

そうでなければ、地道な任務はできていない。
「将軍閣下…一度、蛮族に攻勢をかけて黙らせておく必要があるのではないでしょうか?」
幕僚の女性士官の言葉は当然である…現時点で蛮族の侵攻が鈍いのは、オルフの武勇があればこそで、オルフ不在となれば大挙して押し寄せてきかねない。
それでなくとも、各自独立して動いていた蛮族に同盟の兆しがあるのだ。
オルフとしては、下手に動けない状況なのだ。
「参謀長は何か妙案はあるか?」
オルフは傍らの女性参謀にそう問う。

独立戦争時からオルフに付き従う参謀は、シュザクから軍略を学んだ弟子でもあり、オルフの信頼は厚い。
しかし、そんな彼女の口から出た言葉は居並ぶ諸将とオルフを驚かせた。
「堂々と告示して、行かれれば宜しいですわ」
その短く衝撃的な言葉に周囲がざわめく。
「将軍閣下が不在となれば、蛮族は好機とばかりに攻め寄せてくるぞ!」
「それも密かに蛮族同士が盟約を結んでおるとかの報もあるではないか!」
そんな言葉が飛ぶが、彼女は冷静に話し始めた。

「その通り、彼らは攻めてくるでしょう…しかし、遅かれ早かれ彼らとの対決は必至…ならば我々に敵対する者を炙り出し、それを駆逐する事こそ真の統一となるのではないのでしょうか?」
彼女の言葉にオルフは少し面白く無い顔で言った。
「ワザと俺の居ない隙に襲わせて、陛下に軍を出して頂いて、一網打尽にするんだな…」
どちらかと言えば好きで無いやり方だが、それが有効なのも理解している。
その辺りが彼がこの地位にいる所以である。

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