ダメ男再生学園 9
「ようこそ。三野瀬君。私は管理人の大東理沙。ここに住んでみんなのお世話をしてるから気軽に声をかけてね…君の部屋まで案内して、その後、よかったら、館内を案内するよ」
「はい。おねがいします」
僕の部屋は二階の、階段からすぐのところだった。
荷物を置いて、すぐに案内を受ける。三人もついてきた。
「ここは、部屋だけが個室で、お風呂、トイレ、食堂とかは共同なの、って聞いてた?」
「えっ!?」
そこらへんの話は漠然としていてよく理解していなかった。
部屋が個室なのはいい。しかし、風呂トイレ共用?
「トイレに関しては簡易的なものは置くつもり…男の子だもんね。まあお風呂は…」
「大丈夫ですよ理沙さん、私たちで三野瀬くんのお世話してあげますもん!」
自信満々に言い放つ沖さん。いや、そのお世話っていったい…
「元気なのはいいけれど、各クラス一人しかいない男子だからって世話焼きすぎないでね?自身の勉強とか、本来すべきことに使うべき時間だってあるのだから」
「一人に対してだし、交代でだから大丈夫ですって」
仕方ないか、という調子で沖さん達の言い分を聞き入れる理沙さん。
不意に改まった顔になって理沙さんが切り出してきた。
「話を戻すけど、この寮に住んでるのは君達のクラスの子が多いの。仲良くしてあげてね。 三野瀬君もうちの学校に来る前のお友達もいると思うけど、あまり素行の良くない人はここに入れちゃだめよ」
「わかりました」
前の高校に、友達と呼べるほどの人はいなかった。
中学時代の友達は何人かいるけど、遠いし呼ぶ機会は多分ないよね……
「今から晩御飯の準備始めるから、それまでは自分の部屋でゆっくりしててね。荷物の整理とかも早めにやっちゃうといいかも。食事は1階で、みんなで一緒に取るから、その時には呼ぶからね」
理沙さん、かなりの世話好きな人と見た。しかも優しくて包容力もありそうで。
津野さんとよく似てるけど、姉妹?でも苗字違うしな。
「ふふーん、三野瀬くんのお部屋の隣だからねぇ、私」
「あぁ、よろしく」
そんな津野さんが部屋まで案内してくれた。
部屋のドアを開けると、西日が差し込む、ベッドと机とクローゼットがあるシンプルな部屋。そして足元には、僕が発送した荷物が届いていた。
「荷物整理手伝おっか」
津野さんは笑顔で言う。ありがたいけど、この荷物、見られてヤバイものとか入れてなかったかな…
「え、あ、ありがとう。でも、今はいいや」
「そっか、じゃあ手伝ってほしいときとか言ってね」