ダメ男再生学園 59
「そうなんですか…」
「三野瀬君、紅茶でいい?」
後ろからの湯窪さんの声に振り向くと、湯窪さんがいつの間にかお盆に人数分のティーカップとポットを載せて立っていた。
「あ、うん」
紅茶とお菓子が配られる。
「ありがと」
神崎先輩も湯窪さんからのお茶とお菓子を受け取る。紅茶を飲む先輩、その姿はなんだか優雅だ。
「見ての通りうちの部は少人数でのんびりやってるところ。運動部みたいにこれと言って大会みたいのはないし制作物片手にお茶飲んだりお菓子食べて楽しくおしゃべりしましょ、って感じで」
「はあ」
緩い。でもそれがいいのかもしれない。
他愛のない話が続く。俺が転校生であることは、クラスメートはみな知っているはずだかそれには触れられなかった。逆にそれはそれで居心地がいいことだった。
時間はあっという間に経って、もう帰った方がいい時間になった。
神崎先輩以外は帰り支度を始める。
「入部とか決めなくても、また遊びに来て。もし入っても部活掛け持ちも全然OKだから」
「はい、また来たいなと思ってます」
「ありがとう」
神崎先輩は笑顔で俺に会釈した。
湯窪さんたちが帰り支度し終わり俺を待っていた。
校門のところまで一緒に行って、そこで別れて俺は1人で寮に帰った。
「あ…………おかえり」
寮で最初に迎えてくれたのは浅木さんだった。
「どっか部活いってきたの?」
浅木さんは昨日と変わらず、履いているか分からない長いTシャツを着ていた。
「あ、うん、文芸部に」
「ヤってきたの?」
「えっ?!」
「君、モテるから、さ」