ダメ男再生学園 58
「あ、は、初めまして…」
綺麗な横顔。透き通るくらいに真っ白な肌。瞳の色は、青い。
名前からして、ハーフの方なのだろうと思う。
それにしても美しい人だ。
「ふふ、大歓迎よ。まあ、そこに座って」
「は、はい」
緊張収まらぬまま、俺は湯窪さんたちとともに椅子に座る。
「緊張しなくていいよ。そんな堅苦しい部じゃないから」
「ええ」
と言われても緊張する。
神崎先輩はロッカーから薄い冊子を何冊か取り出した。
「これが私たちの最近の活動…あ、でも、全員がいきなり書いてるわけじゃないから」
かなり本格的に見えるんだけど…
漫画を読むのは好きだが、描くのはちょっとハードルが高い。そもそも俺、絵心がまったくない。
「イラストが苦手なら文章でもいい。それにこの絵も手で描いてるワケじゃないしね」
神崎先輩はニコリと微笑んで俺を手招きした。
神崎先輩が示したパソコンのモニターには絵が映っていた。
「このアプリ、聞いたことあると思うけど…パソコンは得意?得意だったら、すぐに使い方も慣れると思う」
神崎先輩はそのアプリのいくつかの操作を見せてくれたあと、俺たちはもとの場所に戻った。
「でも、正直言うと、創作するでなくても、男子の感覚がほしい場面はあるよ。男子部員いないから」
この高校は男子の数が少ない。
男子がどんな人がいるかどうかわからないのでイメージで語ることしかできないが、こういう部活に興味を持つ者はいないのではと思う。
「と、いいますと」
「男子から見た女子に対する心理とか、日常生活における行動とか心情とかね。私たちは男子じゃないから、そう言うのはイメージでしか見ることができないから」