ダメ男再生学園 55
「理科好き?」
「え、あ、うん」
さっきの移動教室は化学だった。澤本先生が気になって、というのもあるが、理科好きなのは嘘ではない。
「なら、科学部、見にくる?」
「え、真奈、部活の勧誘?」
背後からツッコミを入れてきたのは未奈美。
「ふふ、いいじゃん」
「おとなしいのにやる時はやるねぇ」
「えへへへ」
百瀬さんは俺にニコニコしながら続けて言う。
「見学だけでもいいから、来てくれたら嬉しいな」
「う、うん、じゃあ、ちょっと、見学、行ってみるよ」
百瀬さんが何か返す前に何人かの子が俺に近づいてくる。
「運動部興味ない訳じゃないでしょ。陸上部見にきて。ほとんど女子の学校だし、体育会系だってそんな厳しくないよ」
香川さんがそう一気に言う。
「水泳部とかは?」
この子は…確か、植松さん。
「うちはあんまり強くないから、みんなでまったり仲良くやっていけると思う」
運動部も様々だな。それなりに動けるけど…
「見学だけでいいからさ、もし来るならいつでも言ってね!」
香川さんが背中をドン、と叩いて早足で教室に向かった。
「どうしようかな」
「龍希がしたいようにすればいい。私は帰宅部だが」
未奈美が言う。
俺はどうしたいだろう?考えながら席に戻った。
次の時間は特に何事もなく過ぎ、新学期二日目の授業はこれで終わり。
そういえば、お昼のこと何も考えてなかった…
部活見に行くならお昼食べないと。
俺はあたりを見回した。