ダメ男再生学園 33
そうして、浅木さんは両手移動させ、僕の両手を握った。
とっても、暖かく感じた。
その状態は、無言のまま、かなり長く続いたような気がした。
いつしか、どちらからというでもなく、俺たちは互いに抱きしめあっていた。
でも、唇を浅木さんの唇に近づけると、浅木さんは避けるような仕草をした。
早過ぎただろうか。僕は浅木さんから少し離れた。また距離を置いて2人向き合う格好になる。
「ごめんね、そこまでは想像してなかった」
「僕の方こそ…急ぎすぎましたね」
浅木さんは気丈に微笑む。
「三野瀬くんはとても良い人なんだ、そう思ってるのにいざされるとあの時を思い出すのはなんでなの…」
「あせらなくて、いいと思いますよ」
「ありがとう…でも、同じクラスなんだから、タメ口、使って」
「はい…うん」
浅木さんは笑った。俺もつられて笑った。
そのあとしばらく、なんということない話をしたあと、浅木さんが眠そうになってきたので俺は「また明日」と退出した。
廊下に出ると、ちょうど豊野さんがお風呂を出て階段を登ってきたところだった。また、バスタオル一枚で。
「あ、ごめんねまたバスタオルだけで」
ニコッと笑い、ペコリと頭を下げる豊野さん。
今度は意図的か?と思いつつも、豊野さんの中では俺がここに来る前もこの姿で寮の中を歩くのが当たり前だったんだろう。
指摘するより慣れるべきとは思うが、バスタオルの下に隠れる2つの果実は凶悪だ。浅木さんとのこともあって股間がどうにかなりそうだ。
「部屋に来て。夕食前の話の続きでも」
「う、うん」
俺は夕食前のことを思い出していた。あのときは豊野さん部屋に入って着替えてきたのだった。
でも今は、その姿のまま俺と部屋に入ろうとしている。
指摘ではなくここは訊いてみる。
「あの、先に着替えなくて、いいの?夕方みたいに」
「ああ、あのときは、びっくりしちゃって。やっぱりこんな姿、嫌だよね」
「ええと、いやとかそういうことじゃなくて」
「あのあと思ったんだ。もしこんど私が一緒にお風呂はいることになったら…どっちにしても裸見るでしょ。だから…三野瀬君になら…三野瀬君が嫌じゃなければ、これでもいいかな、って」