ダメ男再生学園 29
大部屋に三人だけになって、誰言うと無く俺たちも部屋を出る。
一緒に歩いても、やはり一度深い関係になっていると距離感が大いに違った。
未奈美とは階段の前で、美咲とは部屋の前で、それぞれ軽くキスしてわかれた。
さて、
俺はちょっと気になる浅木さんの部屋のドアの方を見た。
「浅木 美来」
木製のプレートに可愛らしい文字でそう書かれている。
豊野さんとか、未奈美の部屋の前にも同じようなのがあった。理沙さんが用意したものなのだろう。
未奈美も美咲も部屋の中に入った。俺は廊下の、浅木さんの部屋の前で突っ立っていた。
不意に扉が開いた。
「!?」
浅木さんもものすごく驚いている。ヘッドホンをつけて、音楽でも聴いていたのだろうか。
耳許以外はさっきと同じ姿、すなわち、穿いているか微妙。
「くる?」
浅木さんは辛うじて聞こえる小さな声で、そう言った。
「うん…」
僕は、そのドアの向こうに、ついていった。
シンプルな部屋。
家具、ベッド、テレビとステレオ以外は特別変わった感じのない部屋。浅木さんもここに来て間もないのだろうか。
「浅木さんはお風呂行かないの?」
「私は…………一番最後でいい。最後に、ひとりで楽しむ」
ボソボソとそう言う浅木さん。まだ俺のこと警戒してるのかな…
浅木さんはクッションを差し出した。
「座る?」
俺は勧められるままに座った。
浅木さんは椅子に座り、ヘッドホンを外した。
このような位置関係だと、ますます下半身の、ロンTの下が気になってしまう…