ダメ男再生学園 13
「そうか…大変だったんだね」
「私なんてまだマシな方だと思うよ。誰って言ったらアレだけどイジメに苦しんで自殺一歩手前まで行った子だっているし、お父さんが冤罪で警察に捕まって一家離散した子もいるし……みんなすごく苦労してきたんだ。それなのにそんな顔ひとつ見せない強い子ばかり。ただ、部屋で一人でいると時々思い出すこともある……」
「うん…」
「美咲がそうだったんだよね……ここに来た当初、夜中になると部屋で泣いてて…」
俺は"美咲は、私が止めなければ線路に身を投げてた"という美沙さんの話を思い出していた。
「うん、その話ちょっと聞いたかも」
「廊下にまで聞こえてくるすすり泣き声だったからほんと心配だったよ」
「寮の管理人さんは美咲のお姉さんでね」
「うん、それはさっき知った」
「三野瀬くんも美咲と仲良くしてあげてね」
「もちろん」
うちのクラス、いろんな意味で訳ありな人が集まったみたいだ。その分わかりあえることもあるだろう。
チリンチリーン
廊下の方からベルの音が聞こえた。
「晩御飯の時間だね。三野瀬くんも行こっ」
俺と豊野さんは食堂に入った。理沙さんがご飯をよそっていた。相次いで沖さん、西さん、美咲さんが入ってくる。皆、豊野さんに負けず劣らずラフな格好だ。
そして、まだ名前のわからない人が二人入ってきた。
ひとりはTシャツに、下は…これはパンティではないだろうか、と思われるものを、もう一人は、長めのTシャツに、その下は…穿いているのかどうかすらわからなかった。
「これで全員にご飯行ってるかな?」
理沙さんが確認する。
「ありまーす」
といった声や、頷く娘もいる。
確認を終えた理沙さんが、全員を見回してから次の言葉を告げた。
「せっかくだからお互いに簡単な紹介をしよ。名前知らない子もいるでしょ?」