ダメ男再生学園 101
未奈美は学校とは反対に向かって歩き始めた。
「ここが、うちから一番近い店…なんだけど、営業時間短いし日曜は休みだからあんまり使わない」
「コンビニは?」
「坂を降りたところ…そういえば、龍希君、ここにどうやってきたの?」
「え?」
この学校に来たとき。もう、ずいぶん前のような気がした。
「ええと、バスで」
「じゃあ、坂は登ってないんだ。この辺、どこから来ても、坂登るんだよ」
そうなのか…学校に行くのも結構起伏に富んだルートのような気がするからな…
「休日だと走ってる人結構見るよ」
さっきもすれ違ったな。
「もし何か欲しいものがあったら理沙さんが車に乗ってお買い物に行くから平日に頼むか、今日みたいにお休みの時に一緒に行くか。私たちも手伝うついでによく行くんだ」
散歩するだけでも、運動になりそうだ。
ゆっくり散歩できる日なんて久しぶりだし、それにこんな可愛い娘と一緒に歩けるなんて…
未奈美と一緒に歩いているだけでも、嬉しい気持ちになる。
「あれ?龍希君?」
「ああ、未奈美といっしょにこうして歩いてると、なんだか幸せな気分になってね」
そんな気持ちも手伝ってか勢いで未奈美の手を握ってしまう。
少し驚いた顔をした未奈美だが、その顔がすぐに微笑みに変わって俺の手を握り返してきた。
「それは私もかな。ありがと」
そのままなだらかな坂道を歩いていく。
「これ、デートだよね?」
「未奈美がそう思うなら、そうなんだろ」
そのまま歩いていくと、だんだん住宅は途切れ、道の両側に畑や雑木林があるようになってきた。
未奈美は雑木林の方向に手を引いた。俺もついていった。
明るい雑木林の明るい道を行く。
「こういう林があるんだね」
「そう。結構好きな場所なんだ」
どんどん歩いていくと、やや木の雰囲気が変わってきた。だんだん暗い森になってきたような気がした。