ダメ男再生学園 11
理沙さんはシチューを煮込む鍋を見ながら話を続ける。
「三野瀬くんがたくさんの苦労をしてきたのは私も知ってる。ここはそんな苦労なんて忘れてのびのびしたらいいの。美咲も、三野瀬くんみたいな苦労をしてきて、私が守らなくちゃって思ってね…」
「美咲、って、津野さんのことですか?」
「そう」
「あの、これも聞こうと思っていたのですが、津野さんとすごく似てると思ったんです」
「やっぱりそう思う?姉妹なんだ」
「えっ、名字違うから、そうじゃないのかなあ、とか思っていたんです」
「私ね、一度結婚して別れたんだ。名字変えるとき面倒だったから、また戻さないで、元旦那の名字使ってる」
やっぱりそうか。
津野さんと似てるってのは気のせいじゃなかったんだ。
「三野瀬くんも、美咲と仲良くしてあげてね」
「もちろんです」
「あの子も酷いいじめを受けて……私が止めなかったら線路に身を投げていたわ」
「そんな…」
あんな元気でいい子でも、闇を抱えてたりするから、人間ってわからないよな…
しんみりした雰囲気になって、ちょっと居づらくなったので僕は退出した。
ドアを出て、部屋に戻ろうとした瞬間。
「きゃ、男の子ほんとに来たの?」
声の主は、直前まで、バスタオル一枚だったみたいだ。そのバスタオルがはらりと落ちて…俺は下を向いて眼をそむけた。
「あ、あの、すみません」
その人は慌ててバスタオルを巻き直したのを視線の端の方で感じたので俺は恐る恐る眼を上げた。
「びっくりした…ごめんね、ここで会うなんて思わなくて」
「いや……俺の方こそ…不注意で…」
恐る恐る顔を上げた目の前にいたのは、バスタオル一枚だけを身体に巻いた美少女。隠したとはいえおっぱいかなり大きいから目のやり場に困るんだが…
「ごめん、着替えてくるねー」
そう言うと彼女は俺の隣の部屋に入っていく。