神アプリ 86
中に出された後、汚れた屹立の掃除がいつの間にかオーラルセックスに変わり、口にも一発頂戴している。シャワー浴びる時も、子種を掻き出してやるからと、30分みっちりと陰核にシャワーをあてながら指で散々ほじくり返され、快楽の甘い汁を啜らされた。帰りは信号に捕まるたびに男根を咥えるよう言われ、それを実行し、自宅に着く数分前には車を路肩に寄せて精飲に至るまで奉仕をさせられた。
そして、それ故に、彼女が危惧しているのは、翔真に弄ばれることに快感を覚えていることだ。この、たった数時間の性的行為は悦楽にまみれた目眩く時間だった。もしこのまま泊まることになって、もしまたいやらしいことを強要されると、もしかしたらまた拒絶できないのではないだろうか。それどころか、同じ屋根の下に和彦もいるというのに、翔真からの行為に悦んでしまうのではないだろうか。
考えれば考えるほど罪悪感が大きくなる。それなのに背徳的な快感を期待しているかのように、購入して穿き替えたばかりのショーツのクロッチは湿り気を帯びていく。
一方、先にダイニングに入った翔真は、むす、としてテーブルに着いている和彦と、ふんぞり返ってテーブルに着いている父親の姿に、溜め息を吐いていた。
父親は、母親が言うのだから、結婚には賛成しているのだろう。しかし未だ認めないということは、時期尚早という持論を曲げざるを得ないほどの説得力を和彦が持ってなかったということだ。
「はあ……あのさぁ、親父。いいんじゃない? 結婚」
「む?」
ピクッ、と父親の方眉が上がった。
「今のご時世、新婚で専業主婦になれる女性なんてそうそういないって。旦那が養うんじゃなくて、お互いに支え合う時代なの。精神的にも、金銭的にも」
「…………そうか」
「え!?」
と、和彦は驚愕の声を上げていた。
「何? 納得したの!? 今ので!?」
「ああ」
「じゃ、じゃあ……結婚は……?」
「するといい。お前たち2人で、お前たちの思う幸せを築け」
「マジかよっ……っかあーーっ! 翔真! いや、翔真さん! いやいや、翔真様! 俺はあなたのような弟を持てて嬉しいぞ!」
「ははっ。お互い様だって」
翔真の言葉の意味など今の和彦にはどうでもよく、ただ天にも昇る思いでいる。
「あら、和彦。もしかして……」
「ああ! 親父に承諾をもらったぞ! っしゃあああ! あ、おい彩月! 親父が結婚していいって、やっと首を縦に振ってくれたんだ!」
「ホント!? はああ……」
母親の後に入ってきた彩月は、和彦の歓喜を共有して、パァァっ、と表情を明るくする。が、
「翔真がガツーンと来ることを言ってくれてな! もう翔真様サマだぜ!」
と翔真の首をホールドする和彦の言葉と、「痛い! 痛いから!」と苦悶している翔真を見ると、彼女の満面の笑みが複雑な色を垣間見せる。
「はあ……はあ……そ、それはそうと、兄貴たちも今日泊まっていくんだろ?」
ビクッ、と彩月の肩が跳ねた。口から吐息のようにも聞こえる息が小さく漏れる。
「いや? 明日は連休最終日で道が混みそうだし、帰るつもりでいるんだが」
「え? でも彩月さん、さっきネグリジェっぽいの買ってたけど? ほら、あの、国道沿いのショッピングモール。あそこに寄ったとき」
それは翔真に金を渡された彩月が、グショグショになったショーツの替えを買った時についでに買うよう言われた物だ。
「忘れたんじゃなくて衝動買い? まあ、いずれにしてもパジャマがわりものがあるんだし、兄貴には俺の服貸してやるからさ、泊まってったら? 折角だし」
「可愛い弟がそこまで言うなら……なあ、彩月?」
和彦が彩月に伺う。その横で翔真が顎をしゃくり、無言の命令を下す。彩月は和彦よりも翔真からの圧力の方が重くのし掛かり、策略じみたものを感じているのにゾクゾクと背筋を震わせていた。
「そ……そうね……偶然、服もあるから、ね……」
「よかったぁ。夕飯、彩月さんの分も作ってあるからね」
母親はニコニコして台所に入っていく。
「あ、わ、私も何か手伝いましょうか」
「あらホント? 助かるわ。私ね、ずっと娘が欲しかったのよ。彩月さんみたいな人が娘になるなんて……ああ、和彦を選んでくれてありがとう」
「いえいえ。こ、こちらこそ、フツツカモノですが──」
などという会話が台所でされている中、翔真は客間と同じ位置取りでテーブルに着いた。
タイミングを見計らっていたかのように父親が口を開く。
「ところで翔真、就職活動はどうなんだ?」
「ん……銀行は無理っぽいかな。ってか、多分全部落ちたんじゃないかな」
「銀行なんて、そりゃそうだ」
ケラケラ笑う和彦を翔真はジト目で刺した。
「なんだ、その投げ槍な言い方は?」
「あー……合否連絡があるかなーって時にスマホ落としちゃって……郵送で来たやつはダメだった」