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神アプリ
官能リレー小説 - ハーレム

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神アプリ 1

 適当なファストフード店に入った五十嵐翔真(いがらししょうま)はテキトーにコーヒーを購入するなりテキトーなカウンター席に腰掛けてスマートフォンを弄りだした。

(大丈夫だよな……大丈夫だよな……)

 一週間前に落としたスマホが届いていないか遺失物届けを出した交番に確認に行ったところ、偶然にも届いていた。聞くところによれば、スマホは交番の真ん前に落ちていたらしく、彼が尋ねる数時間前にたまたま発見されたとのことだった。
 訝しげな目を向けられながらの所有者確認を終えて手元に返ってきたのだが、変に弄くられていないか細部まで確認しておきたくて、その作業に取り掛かったところだった。

 翔真の横では二人連れの女の子が談笑している。二人とも、平日なら学校の制服を着ていそうな若さだったが、休日の今日は背伸びして大人のファッションを楽しんでいた。

 隣の談話など盗み聞いている余裕もなく、翔真は熱心にスマホを撫でまくっている。
 就活で面接に赴き、その帰りにスマホを落としたことに気付いて目に付いた携帯ショップに駆け込み使用不可の状態にしてもらっていたので、莫大な額の支払い請求が届くことはないだろう。ただ、アドレス帳にイタズラされたりアプリを消したりされていても困る。
 幸い、アドレス帳に変化はないようだった。数人名前が消えていたとしても簡単には気付けないだろうが。
 次にアプリの確認に入る。実用的なアプリやハマっているパズルゲームのアプリは削除されずに残っていた。パズルゲームのアプリはネットに繋げて遊ぶタイプのものなのでデータ云々までは現段階では確認できない。
 使用不可状態を解除してもらわないと、と思っていた時。見慣れないアプリが彼の目に留まった。

 スレイブ・メイキング─────

(何だ、これ?)

 アプリ名だけ見れば実用的なアプリではなさそうだ。ゲーム名だとしても18歳以上でないと楽しめないような響きである。
 翔真にはこのアプリをダウンロードした記憶がなかった。いかにも怪しく、インストールすればウイルスがばら蒔かれそうな状況と言わざるを得ない。
 しかし、彼はそれをタップしていた。

 アプリが起動する────

スレイブを登録してください

 そんな文言が表示され、テキストページにカーソルが点滅している。

「は?」

 彼の困惑の感嘆は、隣の席のそれと重なる。

「きゃっ……」

 短い悲鳴の後、テーブルの上に化粧道具やハンドタオルなどが散らばった。隣の女の子が何かの弾みでトートバッグを倒したようだ。ピンクの可愛らしい大口財布は床に落下してしまっている。
 翔真は目に入った、プリクラを切るためのものと思われる小さなハサミを取り、隣の女の子に手渡した。

「すみません……」

 女の子は恥ずかしそうにそれを受け取った。

「いえいえ」

 などと言いながら、翔真は椅子から降りて財布に手を伸ばした。留め具が外れて開いた状態になっている財布は色んなものをパンパンに詰め込まれているようで、カード入れに差し込まれているカード類が半分ほどピョンピョンピョンッと飛び出していた。

(あ……)

 カード類の中に学生証がある。学生証には名前が書いてある。

「ありがとうございます」

 と顔を赤くしてつぶらな瞳を潤ませている女の子の、斎藤彩菜(さいとうあやな)という名前が、しっかりと書かれている。

「いえいえ……」

 翔真は財布を渡し、椅子に戻る。スマホを手にして、名前を入力する。

斎藤彩菜

 と。名前を考えるのが面倒臭くて、たまたま今見た名前を入力していた。

 新しい案内が表示される────

設定を行ってください

 その下にいくつかの項目があり、ONとOFFが表示されている。全てのOFFを選択している状態のようで明るい青色をしていた。逆にONは暗い赤になっている。
 翔真は項目を目で追った。

愛情

(愛情はあった方がいいよな……)

 ONをタップする。
 ONが鮮やかな赤になり、OFFは暗い青に変わった。

忠誠

(忠誠心は欲しいな)

 ONをタップ。

服従

(忠誠と服従ってどう違うんだろう……)

 ONをタップ。

発情

(発情……?)

 ONをタップ。
 表示されている全てのONが鮮やかな赤色になった。
 そして最後に完了≠押す。

 画面が切り替わる────
 

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